2017年12月31日、2018年のマリーンズのスローガンが「マクレ」となったと発表された。マクレの意味は「勝ちまくる、打ちまくる」といった「〇〇しまくる」ということと、捲る(一気に追い抜く)がかかっている。そして「レ」は折れ線グラフを表し一気に上昇する様を表しているという。

 そのスローガン、大晦日の朝5時にTwitterで、8時にはLINEで12時にはメールで告知が来た。早くも「告知しマクレ」という様相だ。

 2017年、負けに負けまくった。どん底もいいところだった。あとは上がるしかない。井口マリーンズの捲りを期待したい。そして、選手一人一人の捲りにも。2017年は誰が悪い、というわけではなく、ほぼ全ての選手の成績が2016年を下回っているわけなので、全員が何らかを「マクレ」ないと浮上はできない。

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なかなか殻を破れなかったアジャ井上

 その中で私が人一倍期待をしている選手がいる。2018年に5年目となる井上晴哉だ。

 身長180センチ、体重114キロの巨漢。2014年、キャンプの紅白戦でまさかのランニングホームランを記録すると、オープン戦も絶好調。首位打者を獲得するが、シーズンに入ると急ブレーキがかかってしまった。ツボに入れば長打が生まれるもなかなかツボに入らない。翌年以降も長打を打てる人材として期待をされるも、怪我をしたり、ここぞの場面で打てない。

 開幕スタメンを勝ち取った2016年。4月1日、京セラドームのバファローズ戦では金子千尋からタイムリーを放ち「これは今年はいけるぞ!」とスタンドから確信したが、その後半月も持たなかった。

 そして2017年も同じく、4月中は好調だったものの、不振や怪我人が続出した中で4番に据えられてからパッタリ打てなくなってしまった。その後、長打力が手薄なチームでありながら秋まで1軍に戻れなかった。

5年目のシーズンを迎える井上晴哉 ©時事通信社

 ファームではフレッシュオールスターでMVPを獲得したり、首位打者に輝いたりするも、なかなか殻を破れない。右方向には鋭い打球が飛んでいくのに引っ張った打球が飛んでいかない。長打が打てるバッターが欲しいチーム事情があるだけに惜しい、惜しいにもほどがある。

 しかもマリーンズは2014年以降全くファーストが固定できていない。試合前の練習ではファーストベースに5人ほどがノックの順番を待つ。2017年、ファーストを守った選手は延べ12人にもなる。だからこそ井上には一皮向けてほしいと願うマリーンズファンも多いのではないだろうか。

「アジャ」というニックネームはプロレスラーのアジャ・コングが由来だ。現状ではアジャと言うにはまだまだ大人しい。一斗缶ではなくスポンジを持って歩き回っているようだ。

 そんな井上が「ちょっと変わったんじゃないか」と言う試合を見に行った。2017年10月5日、対ゴールデンイーグルス戦。私が昨年唯一マリンに行った試合だ。