1ページ目から読む
4/4ページ目
もし渦中の三男が現れたら……
――もしこの先、息子さんが戻ってきて謝られたら、その時はどう対応しますか?
林下 正直、今この時点では、明日どこかの海で息子が浮かんでいたと耳にしても、淡々と受け入れられる気がします。家族という最後の砦としての役割を放棄されたわけですから。でも、目の前に出てきてちゃんと「ごめんなさい」が言えるのであれば、そこでもうすべてクリアーですよ。
――お詫びの言葉があるかどうかが、やはり大切なんですね。
林下 それは絶対にそうです。昔、俺の嫁さんが妊娠した時に、「いやいや、やってないじゃん。誰の子どもだよ」って聞いたら、隣の家の旦那だと言うのですぐに乗り込んでいったことがありました。
そこで「お前、人の嫁で子ども作ったんだから、何も口出すなよ。俺が名前をつけて育てるからな」と言ったら、「すみませんでした、よろしくお願いします」と言うので、「よし、すみませんが言えたのならこの話はこれで終わりだ」と決着させたこともあったくらいです。
――それもまたダディらしい極端な例ですが……。
林下 これは家族愛とか優しさとかそんな言葉で表すようなことではなくて、俺にとっては当たり前のことなんです。
でもまあ、とにかく残りの借金を返し終えるまで気は抜けません。俺もまだまだやりたいことがあるし、もうひと踏ん張りしなければならないですね。
写真=橋本篤/文藝春秋
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。