失踪した三男の行方
林下 いえ、まったくつかないですね。最近になって俺の仕事を手伝わせようと思って連絡を取ろうとしたものの、放っておいた期間が長すぎて、もう連絡先がわからないんですよ。
――法的なことで言えば、そもそもこの借金を肩代わりしない選択肢もあったと思います。そこはやはり、家族愛なのでしょうか。
林下 確かに、別に保証人になっているわけではないから、見放せばいいじゃないかという声は多いです。でも、それをしたら息子は二度と表に出て来られないですよね。この借金さえどうにかしておけば、何年後かに「えへへ」と現れた時、「このバカ野郎!」で済むじゃないですか。
それが家族愛なのかはわからないけど、家族で協力して必死に頑張れば、ギリギリどうにかなりそうな金額だったことも大きいです。どうしようもない絶望的な金額だったら最初からお手上げですけど、なまじギリギリどうにかなるかならないかのラインだったから、これはもう仕方がないです。
――とはいえ、今も連絡が途絶えている息子さんに対し、何か思うところは?
林下 2度目は駄目ですよね。最初に電話をかけてきて家族を巻き込んで、その家族を裏切ったわけですから、これはもう駄目です。俺としては完全に信頼関係を失いました。他の兄弟たちには「お前らいつかまた(三男と)兄弟付き合いすることもあるだろうから、迎えてやる気持ちは持っておけよ」と言ってますけどね。
――父親として内心、傷ついている部分もありますか。
林下 傷ついているというより、もうガッカリですよ。これが夫婦ならもともとは他人同士だし、嫁さんというのは俺の所有物ではないから、別れたあとは好きに生きていけばいいと思います。たまたま俺と家族でいたいと思ったから夫婦になる選択をしたわけで、俺と一緒にいるよりも幸せになれそうだという選択肢が見つかったなら、そっちを選べばいい。こういう考え方だからバツ7なんですけどね。
でも、三男の場合は俺の子どもですから、縁は切れません。いわばお互いにとって最後の砦のような存在なのに、裏切られてしまったことは心から残念に思っています。