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 ジェイコブは、早速に子供の頃の記憶を話し始めた。何の前置きもなかった。精神の病の根源は、無意識に封印している子供の頃に受けた傷であるという考えを持っていたフロイトがここにいたら、さぞかし誇らしげだっただろう。

「初めてマスターベーションをしたのは2歳か3歳の時です」と彼は言った。彼にとってその記憶が鮮明だということは、彼の顔を見ていればわかった。

「私は月にいたんです」と彼は続けた。「本当の月ではないけれども。そこには、神様みたいな人がいて……性的な経験をしました。小さい私にはよくわかりませんでしたが」

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 私は彼の言う「月」を世界に開いた深い穴のような場所、どこでもなく、また同時にどこでもあるような場所として理解した。しかし「神様」についてはどうだろう? 私たちは誰だって自分自身を超越する何かに憧れるのではないだろうか?

 少年時代からジェイコブは夢想家だった。ボタンはちゃんと留めず、手にも袖にもチョークをつけていて、授業中に窓から外を眺めるのは一番早いのに、帰る時はいつまでも教室に残って最後になる。そんな子供だった。8歳になる頃には定期的にマスターベーションをしていた。時には1人で、時には彼の親友と一緒に。彼らはまだそれが恥ずかしいことだとは知らなかったのだ。

マスターベーションに罪悪感を覚える

 しかし初めて聖体を受けた後、ジェイコブはマスターベーションは“大罪”なのだと知った。以来、1人だけでマスターベーションをするようになり、毎週金曜日に家族の通う地元の教会で神父に懺悔した。

「マスターベーションをしてしまいます」彼は懺悔室の格子戸の隙間から囁いた。

「何回くらい?」神父は尋ねた。

「毎日です」

 しばしの沈黙。そして「もうするんじゃないぞ」。

 ジェイコブはそこで話をするのをやめて、私を見た。私たちはふふっと小さな微笑みを交わした。そんなストレートな注意で問題が解決するなら私は仕事を失っているだろう。

 ジェイコブ少年は“善人”になろうと神父の忠告に従うことに決め、拳を握りしめて彼のその場所に触らないようにした。しかし彼の決心は2、3日しか持たなかった。

「それが」と彼は言った。「二重生活の始まりでした」

「二重生活」という言葉は心臓専門医にとっての「ST上昇」、腫瘍専門医にとっての「ステージ4」、内分泌専門医にとっての「ヘモグロビンA1c」くらいに私には馴染み深いものだ。それは、依存症のある人が薬物摂取や飲酒や他の衝動的行動に、誰にも見えないところで、時には自分自身からさえ隠れて密かに耽ることを指す。

 ティーンエイジャーの間、ジェイコブは学校から帰ると屋根裏部屋に行って、ギリシャ神話の女神、アフロディーテの絵を見てマスターベーションをした。教科書からコピーしたもので、床板の隙間に挟んで隠していた。彼はのちに自分の人生のこの時代を無垢の時代と見るようになる。