ただ、祖母が森英恵であることは専門学校のクラスメイトには伏せ、デビュー後もしばらくは公表しなかった。それが一転して明かしたのは、2004年、英恵が自身のブランドのデザイナーとして引退することを決め、最後となるパリでのオートクチュールコレクションを開催したときだった。泉はそのフィナーレを飾る一着であるブライダルドレスをまとってランウェイを歩く役に抜擢されたのだ。最後には英恵も泉と手を携えて登場し、人々の拍手と感動の涙に包まれながら、ショーは幕を閉じる。一線を退く祖母と、世界にデビューした孫と、両者の人生が交錯した瞬間であった。
バラエティ番組でも活躍し始め…
こうして彼女はモデルとして大きな一歩を踏んだ。同時期にはタレントとしてテレビにも出演し始める。2005年にスタートしたトーク番組『おしゃれイズム』では、共演する上田晋也(くりぃむしちゅー)や藤木直人とタメ口でやりとりし、その華麗な生い立ちとはギャップを感じさせるざっくばらんなキャラクターで世に知られるようになる。同番組は人気を保ち、昨年9月まで16年半続いた。最近でもバラエティ番組で、以前から似ていると言われていたお笑いコンビ・錦鯉の長谷川雅紀と、スキンヘッドのかつらと白いスーツで彼に扮装したうえ、共演して話題を呼んだ。
ざっくばらんなところは、アメリカ生まれの母・パメラ譲りらしい。母と妹の星との鼎談では、《もしママが日本人だったら、どんな家族になってたんだろう? ってたまに考えることがある。私もこんな話し方じゃなかったかもしれないね(笑)》と冗談めかして話している(『FRaU』2015年7月号)。
やはりテレビ番組『幸せ!ボンビーガール』で広く知られるようになった泉のDIY趣味も、パメラからの影響が大きい。母はものをつくるのが好きで、泉が幼い頃、朝起きると真っ白だった家の壁がオレンジ色になっていた……なんてこともあったという。泉も、コロナ禍でのお家時間には、自宅の壁を幼い娘がボルダリングで遊べるように改装したと、昨年出演した『徹子の部屋』で語っていた。その腕前は玄人はだしで、DIYについての本も出しているほどだ。昨年からは、ホームセンターのカインズのYouTubeチャンネルで、彼女が暮らしにまつわるDIYに挑戦する「森泉のステキ生活研究所」の配信も行っている。