1ページ目から読む
4/4ページ目
祖母・英恵がひそかに期待していたこと
思いどおりにいかないことを楽しんでしまう姿勢は、母のパメラが《泉は心臓に毛が生えてる!? というほどタフで、精神も肉体も強いサバイバー》と評したとおりだ(『FRaU』2015年7月号)。そのタフさは、30代で一念発起して海外に進出し、ついには東洋人として初めてパリ・オートクチュール組合に加盟するなど高い評価を受けるにいたった英恵譲りのものでもあるに違いない。
じつは英恵は、パリでの最後のショーのあと、《泉はやさしい性格だし、デザインが好きで、色の才能もある。モデルとしてスタートしましたが、将来ファッションデザインの仕事にも関わっていってくれればと思っています》と、彼女が自分と同じ道を歩んでくれることをひそかに期待していた。もっとも、そのあとに《何の仕事をするにしても、『地道に、ていねいに続ける』――そのことを大切にしていってほしいです》とも付け加えた(『éf』2004年10月号)。
その後、泉はモデルやタレントとして表舞台を歩みながら、DIYも子育ても、また動物たちに接するのも、モリママの願いどおり地道に丁寧にこなしていることがうかがえる。偉大なる祖母が亡くなっても、その哲学は孫である彼女のなかで生き続けるのだろう。