文春オンライン

2022/10/18

「保険証があるからマイナンバーカードをみんな持たないんだよ」(朝日新聞10月14日)

 政府関係者によると、そう口にした河野氏は厚生労働省に対して保険証の廃止時期の前倒しを強く求めていたという。

 しかしマイナンバーカードが普及しないのはそんな理由だったっけ? デジタル庁が今年1~2月に実施したアンケート調査での、「カードを取得しない」おもな理由を見てみよう。

・情報流出が怖いから(35.2%)
・申請方法が面倒だから(31.4%)
・カードにメリットを感じないから(31.3%)

 ここからわかることは政府が信頼を抱かれていないことや、政府も意義をきちんと説明していないことだ。政策を進めるためには丁寧に説明し、信頼を醸成していくことが先だろう。それなのに河野氏は「保険証があるからマイナンバーカードをみんな持たない」と言い始めた。話をすり替え、国民皆保険制度を人質に取ったように見える。政府への信頼がますます失われていく。悪循環である。

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「突破力」という表現におぼえた違和感

 一方で疑問に感じたのは新聞報道も同じだ。今回の河野氏の手法に対し「突破力」と書いているのを見かけた。

《持ち前の突破力で普及の道を開けるのか。手腕が問われる。》(毎日新聞10月14日)

《河野氏の「突破力」に期待する岸田文雄首相も、マイナカードの普及率について面会を重ねるたびに、「こんな数字じゃだめだ」「しっかりやってほしい」と発破をかけたという。》(朝日新聞10月14日)

 朝日はカギカッコでの表現だが、強引な手法にしか見えないものを「突破力」と書いていて疑問に思わないのだろうか?