中国に帰るか、ひとりで日本に残るか?
高校時代、父親が事業の拠点を中国に移すことになったとき、“両親と中国に帰るか、ひとりで日本に残るか〞という選択を託されました。
高校2年の僕は日本に残る選択をしたんだけど、理由はいくつかありました。
ひとつは好きな子がいたから。オイオイ! と思われるかもしれないけど、高校生にとっては大きな意味を持つことです。
他にも理由はありました。彼女だけじゃなく友達とも離れたくなかったから。
もうひとつは受験上の問題です。
もともと中国語は話せていたけど、中学2年生から日本の学校に通っていました。中国の大学受験は本当に厳しい競争になるのに、受験間際に中国に戻ってついていけるのか? 清華大学や北京大学を目指すひとたちは、幼少期からそのための勉強をしています。いまからそういう競争の中に入るのは難しいという判断でした。
だから日本での大学進学を選ぶことで、中国に帰国するか、日本に残るかの選択を先延ばしにしたのです。
とはいえ、当時の僕は世界史がものすごく得意なのに、英語は普通レベルで、現代文がまったくダメという極端な成績。そのため国立大学の受験を考えるのは難しかった。私立でも一流レベルのところに合格するのは厳しいと見られていました。
でも僕としては、勉強しろと強制することもない親を喜ばせるためにも、できるだけいい大学に入りたいと考えました。
そこから1年半、毎日、小論文を書いて現国の先生に添削してもらうなど、僕なりに勉強を続けました。それでなんとか、早慶に合格できるかどうか。難しくはあっても早慶に合格する可能性もあるC判定くらいまでは成績をあげられたんです。
結果的に、早稲田に合格。
僕はその中で早稲田大学商学部に決めました。商学部に進学した理由も、将来どんな仕事をしたいかわからなかったので、選択肢が広そうな学部を選んだんです。