《かなしい きもちはね、ふたを しなくて いいんだよ》《あなたは、よいこ。なにかを じょうずに できなくても。みんなと 同じように できなくても》。柔らかなタッチで描かれた森で暮らす小さな動物の親子たち。その親の目線から紡がれる愛情たっぷりな言葉の数々。疲れた心に沁み渡る、優しい内容の絵本がヒット中だ。
「子供や大切な人と一緒に読んで、自分の愛を伝えてほしい。そうした気持ちを第一に作った本です。一方で、大人が子供だった頃、自分の親や知り合いからかけてもらった優しい言葉を思い出す本にもなるといいな、とも考えていました」(担当編集者の吉村真樹さん)
書店では児童書のコーナーを中心に展開され、読者層も子育て世代の30代~40代の女性が中心。だが口コミで、それ以外の世代にも広まりつつある。
「介護中の方から、『疲れているときにこういう言葉をかけてほしかった』という感想が届いたのは印象的でした。ほかにも『肯定してくれるこの本のおかげで、心がスッと楽になりました』とか、『自分自身をないがしろにしているときに、この本を思い出したい』など、感想も内容が幅広いと感じています」(吉村さん)
読者の9割は女性。しかし、YouTubeで公開中の読み聞かせ動画は50代以上の男性にも人気だとか。潜在的な読者が多そうだ。