ザ・ドリフターズのメンバーのひとり、仲本工事さんが亡くなった。仲本さんは10月18日午前9時ごろ、神奈川県横浜市西区の交差点を横断中、73歳の男性が運転する乗用車にはねられ緊急搬送。治療を続けていたが、急性硬膜下血腫のため19日に亡くなった。享年81だった。

『8時だョ! 全員集合』(’69~’85年)直撃世代の筆者はショックだった。2000年に物故した荒井注さん、2004年に亡くなったいかりや長介さん、2020年に早逝した志村けんさんの時とはまた違うショックを今、感じている。

 筆者はテレビ雑誌の記者時代からフリーになって以後も20年以上にわたり仲本さんを取材させていただいてきた。特に頻繁にお話を伺ったのは『8時だョ! 全員集合』のDVD-BOXシリーズが発売された時期。ご本人に「もうみんな話しちゃったよ」と言われるまでご取材させていただいたが、毎回イヤな顔ひとつせず、“あの”笑顔で新しい秘話を楽しくお話しくださった。

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 仲本さんへの取材は“こんなに楽しい取材はない”という取材のひとつだった。

仲本工事さん ©文藝春秋

ドリフターズ加入1年でビートルズ公演の前座に

 仲本さんは昭和16(1941)年生まれの東京都渋谷区ご出身。都立青山高では文武両道で体操選手としても活躍されたものの、入学した学習院大学に体操部がなかったことから音楽の道へ。クレイジー・ウエストというバンドに加入し、そこで加藤茶さんと出会う。

 さらにジェリー藤尾とパップ・コーンズのメンバーになり、今度は高木ブーさんと出会った。’65年、高木さんの誘いによりザ・ドリフターズに加入。翌’66年にはドリフが日本武道館で開催されたビートルズ公演の前座を務めることになり、仲本さんは「ロング・トール・サリー」のリードボーカルを堂々担当した。

 そして’69年10月、国民的バラエティ番組『8時だョ! 全員集合』がスタート。その人気を不動のものにすると同時に以来53年、ドリフのメンバーとして現役で活躍し続けた。