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「私一人が頑張ればいい」――これは、風俗で働くシングルマザーの女性が異口同音に発する台詞である。

 自己責任論の内面化という視点からも理解できる台詞だが、現実的に見れば、パチンコ依存の夫やアルコール依存の義父の言動を変えることは、極めて難しい。

 この家庭の中で離婚せずに子育てをしようとした場合、「玲美さんが全てを我慢して、とにかく一人で頑張る」以外に答えはない。

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©️iStock.com

育児方針の違いで義母と対立

 暮らしているA町は育児支援が非常に充実しており、子どもはすぐに保育園に入ることができた。子どもが3歳以上になると、「ここの保育園に行ってくださいね」と役所から通知が来るという。保育料も全て無料だ。

「育児に関しては、A町に住んでいて非常に助かりました。そうした支援がなかったら、おそらくやっていけていないです」

 長女の時は、初めての育児で夜泣きに対してどう対応していいか分からず、夫も非協力的だったため、大変だった。どうしても寝ない時は、車に乗せてドライブした。

 車内で寝ついた頃を見計らって家に戻り、静かに布団に置く。しかし背中が布団についた瞬間、また泣いてしまう。

 それでも、慣れてくれば楽になる。2人目、3人目になってあやし方も分かってくると、気持ちに余裕ができた。ちなみに玲美さんは母乳が出ず、ずっとミルクだった。

 育児に関しては、義母のサポートはあまりなかった。長女が生まれた初めの頃はあれこれアドバイスをしてくれたが、次第に「あなたのやり方が悪い」と文句を言われることが増えた。

 義母は子どもに厳しく、「なんですぐ泣くの」と叱る。玲美さんが泣いている子どもを抱っこすると、「なんで抱っこするの?」と怒られる。まず子どもの気持ちを落ち着かせてから「どうしたの?」と聞くのが玲美さんのやり方なのだが、義母にはそれが通じない。