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競技クイズは『HUNTER×HUNTER』に似ている

――徳久さんや田村さんから話を聞いていくなかで、ほかにどんな部分が競技クイズの魅力だと感じましたか。

小川 ひとつは、将棋のように、トップレベルの知識を持った人たちによる“究極の頭脳戦”を楽しめるところ。ただ僕は、競技クイズについて勉強していくなかで、クイズには将棋と異なる面白さがあるなと気付きました。

――クイズならではの魅力がある、と。

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小川 クイズの場合、興味がない人にとっても、出されている問題の中にどれかひとつは知っていることや、自分の人生に関わっていることがある。だから、完全に自分と無関係ではないんです。

 それにクイズなら、どんな人でも、場合によってはクイズ王に勝てるチャンスがあるんですよ。なぜなら、クイズ王も知らないことが世の中には無数にある。もしその問題が出されれば、クイズ王は答えられないわけですから。もちろん何問も勝ち続けるのは無理ですけど、1問だけなら可能性があると思います。

 だから『君のクイズ』でも、読者が1問でもいいからクイズ王と同じタイミングか、もしくはクイズ王よりも早く正答できるといいなと思って。そして読者には、正答したときの「ピンポン!」という音の気持ちよさを味わってほしい。だから難易度のバランスも考えて問題を作りましたね。

――ご自身は漫画『HUNTER×HUNTER』がお好きなんですよね。『君のクイズ』を読んでいると、修行にもとづいて知略を尽くす部分が『HUNTER×HUNTER』に似ていると感じました。

小川 たしかに、クイズと『HUNTER×HUNTER』は似ていますね。クイズの場合、単純に知識の部分は修行で鍛える必要がある。でも実践で勝つためには、知識だけじゃなく、臨機応変にその場の戦略を構築できたほうが勝つ、みたいなところがあるんですよ。

 テレビプロデューサーの佐久間宣行さんが『君のクイズ』を「バトルもの」と表現してくれたのには、そういう部分が含まれているのかもしれないですね。

――佐久間宣行さんや伊坂幸太郎さんなど、刊行前から著名な方々の間でも話題になっていましたね。

小川 嬉しい限りです。あとは『HUNTER×HUNTER』くらい売れてくれれば言うことない(笑)。

撮影=釜谷洋史/文藝春秋