この様子を収めた動画の反響はすごかった。再生回数もそうだが、ネット中で話題になった。そして同時に僕のイメージが広く認知されることになる。
歯に衣着せぬ発言。タブーに斬り込む企画。いつしか僕には「ダークヒーロー」という異名がついた。それは僕にとってこれ以上ない美称だ。
ただのヒーローはたくさんいる。好感度の高い人気ユーチューバーたちがそうだ。一方で僕はその対極に立つ。つまり唯一無二のユーチューバー。最強の差別化である。
ダークヒーローになることで最強の差別化に成功
たいていの人は自分が周りからどう見られているかを気にする。周りから好かれようとする。大半の人気ユーチューバーもまさにそうだ。彼ら彼女らの人気は好感度と切っても切れない関係にある。
だから僕は逆転の発想を取った。僕はユーチューバーの頂点を目指す。そのために必要なのは? 好感度を捨てることだ。人気ユーチューバーたちはみんな好感度を武器にしている。ならば僕はそこでの勝負はしない。むしろ逆を行く。そこにはだれもいない。最強の差別化だ。そしてその戦略は的中した。
2016年、遅まきながら実写動画に参入した僕は、リスクやタブーを恐れないそのスタンスから、いつしかダークヒーローという異名がつくようになった。そんなユーチューバーはいままでいない。
攻めに攻める企画は次々とバズった。「ヒカル(Hikaru)」チャンネルの登録者数は開設から9か月で100万人に到達。さらにそこから半年後には200万人に到達。どちらも当時のYouTubeの日本最速記録だ。
ダークヒーロー――。不敵な響きだ。でももちろんなにか悪さをするわけじゃない。ただのヒーローの対極にいるのがダークヒーローだ。世のなかは綺麗ごとであふれている。そしてその綺麗ごとがときに人を苦しめる。それを壊すのが僕の役目だ。
綺麗ごとや正論をまえに、他人と異なる意見を言うのは普通なら難しい。本音を口にすれば不謹慎だと叩かれかねないからだ。でもそんな世のなかは息苦しくないか?
「人に迷惑をかけたらダメだ」「恩を忘れたらダメだ」「人の役に立つ人間になれ」
そのとおりだ。そのとおりだからこそキツい。雁字搦めだ。身動きが取れなくなる。やりたいこともなにひとつやれなくなる。綺麗ごとは巡り巡ってあなたの可能性をつぶそうとする。綺麗ごとと優しさは別だ。綺麗ごとはたんなる同調圧力だ。強烈な同調圧力である。それに風穴を開けるのはだれだ? ダークヒーローだ。