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二次相続ラッシュで変わる2030年の“東京住宅地事情”

2022/11/01

 二次相続という言葉をご存じだろうか。家族の中で親が亡くなると相続が発生する。たとえば家主が亡くなると、遺産は配偶者と子供たちなどに相続される。これが一次相続だ。

「二次相続」とはなにか

 二次相続とは、その後に起こる配偶者が亡くなることによって起こる2回目の相続のことを指している。たとえば夫婦と子供2人の世帯の場合、父親が亡くなると相続人は母親と子供2人の3人である。この一次相続が済んだ後に母親が亡くなると相続人は子供である2人となる、これが二次相続である。

 一見すると、両親が順番に亡くなり、最終的に子供が遺産を相続するため、一次相続と二次相続の間にさしたる違いがないように思えるのだが、現実は全く異なる。そしてこれから首都圏で確実に発生する大量相続時代において、この二次相続問題がいよいよ脚光を浴びることになりそうなのである。

写真はイメージ ©iStock.com

一次と二次で様相が異なる理由

 なぜ一次と二次で様相が異なるのだろうか。それは相続税の体系にある。相続の対象となるのは、被相続人(亡くなった方)が持っていた預貯金、有価証券、貴金属、不動産などで、これらを評価して遺産総額を決め、その額の多寡によって決められた税率で相続税が課せられる。

 この遺産総額を計算する場合、一次相続では特典があって、実際の評価額が大きく縮小される。たとえば配偶者控除というのがあって、配偶者がいるだけで遺産総額全体から1億6000万円を控除できる。また所有している不動産については通常は、土地は路線価評価額、建物は固定資産税評価額を基準に算定されるのだが、これが自宅で配偶者が住んでいる場合には、敷地面積200㎡以内の部分については評価額を8割も圧縮できる特例(小規模宅地等の特例)があるのだ。

 これに加えて法定相続人の数に応じて、基礎控除額(3000万円+法定相続人数×600万円)分が控除されるため、首都圏の優良な住宅地に家を持っている世帯でも一次相続の際には、相続税納付の対象となる世帯は少ないのである。