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池袋や大塚で“大量供給”されたワンルーム投資の残酷な“末路”

2022/05/31

 節税目的の不動産投資というと、タワマン投資に代表されるような相続税対策がよく話題になるが、収入が高い層には、不動産を購入することで所得税を節税しようというニーズがある。日本は所得税率の累進性が高いため、一定以上の所得になると稼ぐ割には実入りが少ないという不満が出る。これを不動産投資することで見かけ上の赤字所得をこしらえて、所得を下げ、結果的に節税しようというものである。

 この目的に叶った投資がワンルームマンション投資である。節税効果という意味ではワンルームでなく、1LDKでも2LDKの部屋でも構わないのだが、効率が最も良いのがワンルームなのである。

©️iStock.com

「節税効果」に「収益性」も期待されたワンルームマンション

 まず、ワンルームは1戸が面積で6坪から8坪程度、投資総額も1000万円台から2000万円台が多く、サラリーマンでも高給取りであれば手が出る範囲である。また、1LDKでも2LDKに比べて面積当たりの投資効率が高い。東京都心であればワンルームは坪当たり1万2,000円から1万5,000円程度とれる。これがファミリー向けになると賃料単価は下がってしまう。面積の拡大に家賃が比例してくれないからだ。つまりワンルームマンションは収益性もファミリータイプに比べて高いといえるのだ。

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 またワンルームマンションは同じように節税したいサラリーマンが世の中にい続ける限り、マーケットで流通するのではないかという思惑もあり、手頃な節税手法として定着したのだった。

 不動産投資して赤字を作るとはどういうことかと言えば、ワンルームをほとんど借入金で買って、金利を経費計上する。建物の減価償却を経費計上する。テナント確保等でかかる経費、修繕費などを経費計上するなどして赤字所得を作り、所得税を節税するのがその手法だ。

 所得が高いほど、現在の所得に赤字所得をぶつけることで節税効果が高くなる。平成バブル期には、不動産は一方的な値上がりをしていたこともあり、売却すれば大きな利益もとれるという期待も相まって、サラリーマンの課長、部長クラスの間でワンルーム投資はブームになった。当時のサラリーマンは大抵の会社が副業禁止だったが、なぜかワンルームなどに投資して運用しているのは副業とはみなされないために大勢が手を出したのだ。