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Aさんに自殺の可能性はあったのか

 さらに遺体発見の数ヶ月前に見つかったAさんの車からは、成人を迎えたことで母親に送ろうとしたためていたとみられる手紙が発見されている。

「ずっと女手ひとつでここまで育ててくれてありがとう。今日、無事に成人式を迎え、人生に一度きりの行事に参加することができました。

 文句言いながらも、うちのわがままを聞いてくれたね。すごく感謝してる。(中略)お母さんのこと、家のこと、支えなきゃと思った。結構これでも考えてるんだからね」(車から発見されたAさんの手紙の一部)

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 弁護側の主張するようにAさんに自殺の可能性はあったのか。これは公判で、前出の刑事がこう証言している。

「Aさんの車が発見され、本人は行方不明の状態。途中に何らかの事件性があり、略取か、もしくは失踪して事故にあったか。当初はいろんな可能性が考えられました」

判決は11月18日に言い渡される見込み

 当初は車が発見され、運転手が行方不明という事案だったため、あらゆる可能性を考慮しながら捜査を進めていたという。ところが「アパートにも行きましたが冷蔵庫にアルコール類はなく、交友関係による恨みやトラブルも一切なかった」(同)と、Aさんが自分で身を隠す、あるいは事故に巻き込まれる可能性をうかがわせる事情は見当たらなかったようだ。そして遺体が発見された際、その現場を確認した前出の刑事は、殺人事件だと直感したという。

「経験を踏まえた直感として、事件性が高く、殺しの可能性が高いと直感しました。

 水深の浅い小川に仰向けで亡くなっていることが不自然。事故だとすれば、Aさんが亡くなる事故とは何か? 車から350メートルしか離れていない場所で遭難するはずがない。これまでの捜査から、自殺するような動機は一切ない。地元で成人式を終えたばかりの希望にあふれた若者が、小川で自殺するわけがない。

 加えて遺体の状況。着衣のめくれ方。小川の中で、コートとTシャツが乳房の見えるまでめくれるか。極めて事件性が高いと直感しました」(同)

 公判はしばらく続き、判決は11月18日に言い渡される見込みだ。Aさんの死には、弁護側の主張するように事件性はないのか、あるいは検察側の主張するように喜納被告による事件なのか。