文春オンライン

20歳女性の遺体はTシャツが胸の上までめくれ…無理やり行為におよび、竹やぶで顔面を水没させた疑いの“男の正体”

新発田・女性連れ去り殺害事件 裁判ルポ#2

2022/11/01

genre : ニュース, 社会

note

Aさんと喜納被告を結びつけるもの

 また喜納被告は「身に覚えがない」とAさんの死に関与していないと訴えているが、Aさんと喜納被告を結びつけるものがいくつか存在していること、また事件性を窺わせる状況であったことも公判で明らかになっている。

 起訴状や検察側冒頭陳述、証拠などによれば、Aさんの失踪から遺体発見までの経緯は次のようなものだった。

 当時、製菓工場に勤務していたAさんは2014年1月15日の朝3時45分にスマホのアラームで起床。4時に車でアパートを出た。ところが出勤時刻である4時40分にAさんは姿を見せず、欠勤の連絡もない。その後も連絡が途絶え、所在が不明となる。

ADVERTISEMENT

写真はイメージ ©iStock.com

 一方の喜納被告はその日、仕事を終え、同僚と3人で飲酒したのち、ラーメン屋に移動する途中の3時過ぎに、1人だけその場からいなくなった。

 その日の8時30分ごろ、新発田市駅周辺から離れた同市内の山間部で通行人が車を発見する。のちにAさんの車と判明したそれは、道路から外れ、のり面に転落し、木に衝突する形で停まっていた。

「運転手はおらず無人で、無施錠。道路に戻れない状況なのに、(運転手による)110番通報や119番通報がなされておらず、カギ等の入ったバッグも発見されていませんでした」(検察側冒頭陳述)

近隣住民にタクシーを呼ぶよう依頼

 初めて近隣住民からの通報がなされたのは、その2日後である同年1月17日。

「2日前から車が放置されている」

 知らせを受け警察官が臨場。Aさんの車であることが判明した。のち、この車のハンドル部分から採取した微物のDNA型鑑定が行われ、そこからAさんと喜納被告の混合DNA型が検出されている。

 さらに、近隣住民が初めてAさんの車両を認めた1月15日の朝、その近辺で喜納被告の姿が目撃されていたことも明らかになった。

「被告人が集落の公民館付近を歩いていたところ、犬の散歩をしていた住民に声をかけられました。被告人は住民に連れられてその家に行ってから、タクシーを呼んでもらうように住民に依頼した。10時ごろに住民がタクシー会社に電話をかけ、公民館までタクシーを1台呼んでもらいました」(検察側冒頭陳述)

 10時半ごろ、到着したタクシーに乗り込んだ被告人は、当時住んでいたアパート近くである市街地でタクシーを降り、コンビニに立ち寄る。当時同居していた妻の好きだったタバコ2つとライターを購入し、アパートに帰宅。お詫びとして妻に、タバコを渡したという。

関連記事