喜納被告との混合DNA型が検出
こうした経緯から検察側は「市街地でAさんが車に乗っているのを見て、被告人はその車に無理矢理乗り込み、Aさんを車ごと拉致」(検察側冒頭陳述)したうえで「無理矢理わいせつ行為におよび、陰部に怪我を負わせた」(同)のち、8時半ごろまでに「集落の小川内、もしくは竹やぶ内で被告人はAさんの顔面を3分から5分水没させる、もしくは頸部を圧迫し、溺死あるいは窒息死させた」(同)と主張している。
車が発見された場所近くで喜納被告が目撃されたのは「殺害後に歩いていたとき」とも検察官は主張した。証拠によれば、車が発見されたのは、のちにAさんの遺体が発見された小川から350メートルしか離れていない場所だったという。
このようにAさんが行方不明になった時期に、Aさんの車や遺体が発見された場所で喜納被告が目撃されており、また車から採取した微物からも喜納被告との混合DNA型が検出されているが、喜納被告は「関係ない」とAさん失踪や死亡には無関係であることを主張している。
Aさんは友人に「次、地元帰った時あそぼー」
弁護側は初公判冒頭陳述で「DNA型鑑定の方法には大いに疑問がある」と、Aさんの車のハンドルから見つかった被告人との混合DNA型についての証拠能力を疑問視している。また「今回のことが起こる少し前に、Aさんには辛いこともあった」と、Aさんには“自殺の可能性”もあったと主張した。
証拠等によればたしかにAさんは、高校の頃から交際していた男性と別れた直後だったことが明らかになっている。だが対する検察側は「自殺ではない」と主張し、これも真っ向から対立している。
Aさんが事件に巻き込まれたとみられるのは2014年1月15日だが、当時20歳だったAさんは、その直前に、地元・山形での成人式に参加していた。「高校生の頃は成績がよく、大学への進学を進められたが、経済事情から諦め、新潟の製菓会社に就職」(検察側冒頭陳述)したという。
久しぶりに地元で会った友人とは、成人式後も、その日に撮影した写真をLINEで送り合っていた。
「次、地元帰った時あそぼー」
最後となった、その友人へのメッセージにはこうあったという。