1ページ目から読む
3/4ページ目
少年は試練に挑むが、実力差のある大人と正面から激突しても、勝ち目はない。“なんでもあり”のバトルでは、相手が「参った」と言わない限りは決着がつかないし、最悪、どちらかが死亡するまで戦うしかなくなってしまう。
だが、スポーツや格闘技のようにルールを明示しておけば、登場人物が死に至る前に、勝負の決着をつけることが可能になる。何をすれば勝利となるのか。
『HUNTER×HUNTER』ではその他大勢のモブ(群衆)キャラクターは盛大に殺害されるし、人体切断のシーンにボカシや墨塗りの処理が施されているほどゴア表現も含まれるが、それでも主要登場人物は、再生不能な死の可能性からは遠ざけられている。
ネテロの「失われた左手と右足」が象徴するもの
ゲーム的要素の導入とルールの明示には、「少年主人公を保護する」という観点がある点は見逃せない。
こうした「ルールの提示」→「ゲーム」というフローは、『HUNTER×HUNTER』という作品においては、実は物語の最初期から仕込まれ、繰り返し行われてきた。
ハンター試験中、「飛行船が次の目的地に着くまでに球を奪えればハンターの資格をやる」とネテロが持ちかけてきたゲーム(「No.013 真夜中のゲーム①」2巻収録)は、その代表例といえる。ネテロは左手と右足だけでゴンとキルアを同時に相手にし、彼我の実力差を見せつけたシーンだ。
あるいは天空闘技場には10ポイント先取でTKOになるルールが存在する。また「グリードアイランド編」では、相手を殺害すると目的(カード奪取)が果たせなくなる制約があった。