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──安倍元首相の銃撃事件によって、「宗教2世」が急に注目されるようになりました。

菊池 こんな形で注目されることを願った宗教2世はいないと思います。もっと早くからその苦しみが少しでも知られていれば、あのような事件は起きずにすんだのかもしれません。

 だからせめて私たちはこれからも声をあげ続け、そしてその声が少しでも広がっていくよう、活動していけたらいいなと思っています。

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ある宗教団体からクレームが…連載終了の真相

──本作は2021年9月に集英社のWebメディア「よみタイ」で連載が始まりましたが、2022年2月10日に第5話が突然公開終了となり、そこから全作公開終了となりました。あらためてどういう経緯だったのか、教えていただけますか?

菊池 連載中に、ある宗教団体から「事実と違う」とクレームが入ったんです。担当さんとは、連載前から「どこかから何か言われるだろう」くらいの覚悟はしていたのですが、いざ抗議が来ると担当さんレベルの話では収まらなくなり、出版社から、抗議された部分だけでなく、すべてにわたって表現を見直すように求められました。

 でも、言われる通りにあそこも、ここも、と直していくと、「宗教2世が苦しんでいることを伝えたい」という当初の目的からは大きくずれてしまいます。なので、私からお願いして、連載を終了させていただきました。

©菊池真理子/文藝春秋

──横槍を入れられたようで、悔しく感じませんでしたか?

菊池 悔しいというよりは、「やっぱりこうなるのか」「またダメなのか」という落胆のほうが大きかったですね。

 もし、この作品が私一人だけの体験であれば、また違った対応ができたかもしれません。でも『「神様」のいる家で育ちました』で取材させていただいた方々が伝えたいと願っているのは、毒親の話でも、差別された話でもありません。できるだけ聞いたことを正しく伝えなければ、この連載の意義も半減してしまいます。

 ですから、文藝春秋さんから「個人が本当に苦しんだことをなかったことにしてはいけません。うちで描きませんか?」とお声をかけていただいた時は、本当にうれしかったですね。まさに「捨てる神あれば拾う神あり」だなと思いました。