Q 「汚い爆弾」という聞き慣れない言葉が…どうしてロシアはそんな言葉を使っているの?

 放射性物質をまき散らす「汚い爆弾」の使用をウクライナが計画している……と、ロシアが主張していることが新聞などで報じられていました。

 要するにそれはウクライナ側が核兵器を使おうとしているのではないか、という内容を意味しているのだと思いますが、素朴になぜ「汚い爆弾」という言葉を使っているのか分かりません。「核兵器」という言葉を避けることにどのような目的があるのでしょうか。(60代・男性・無職)

プーチン大統領らのいう「汚い爆弾」とは ©時事通信社

A その気になれば日本も「汚い爆弾」を作れます

 汚い爆弾は核兵器ではありません。核兵器(原爆)はウランの核分裂で巨大なエネルギーを作り出しますが、それなりの技術がなければ製造できません。

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 これに対して「汚い爆弾」とは、たとえば原子力発電所の使用済み燃料をダイナマイトの爆発で撒き散らすものです。

 ですから日本は核爆弾を持っていませんが、原子力発電所から出る使用済み燃料は大量にありますから、その気になれば、いくらでも作り出せるのです。

「汚い爆弾」とは、たとえば原子力発電所の使用済み燃料をダイナマイトの爆発で撒き散らすもの。そのため核爆弾を持っていない日本も、原子力発電所の使用済み燃料などで作ること自体は出来る ©iStock.com

 ロシアは当初、「ウクライナは核開発をしている。核兵器を持とうとしている」と根拠のない主張をしていました。しかし、これに根拠のないことがわかってしまって以降、この発言をするようになりました。これならウクライナの技術でも簡単に作り出せるからです。

 このロシアの発言以降、「実際にはロシアが汚い爆弾を使ってウクライナのせいにするのではないか」との疑惑が広がりました。

 たとえばウクライナ軍がロシア軍に向かって進撃してきたとき、ロシア軍は前線にウランやプルトニウムを撒き散らして進撃をストップさせるという戦法がとれます。これなら放射性物質が大量に大気圏内に拡散することなくウクライナ軍の進撃を止めることができます。ロシアは核兵器の使用を示唆したりしていますが、こちらの方が現実味があるのです。