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 確かに、戦争を受けて、ドイツ政府は石炭火力の廃止を先送りし、しかもこの秋には停止が決まっていた原発も稼働可能な状態を維持することも発表した。

 さらに国民に「配給制限」まで強いる可能性があるのであれば、「崩壊」という言葉も誇張ではないのかもしれない。

再エネ志向だが供給不足で原発に頼らざるを得ない…

 だったら、当の住民たちは今の状況をどう思っているのだろうか。

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 取材班はベルリンの街へ繰り出し、しかも今回はドイツ語での取材で、彼らの本音を聞いてみることにした。

ドイツ国民は何を思っているか ⒸNewsPicks

 まず、最初に当たったのは、シリアからドイツに帰化直前という男性。

 彼は、この夏の時点で、ノルドストリーム1からの天然ガス供給が止まることを覚悟しており、その補完策としてドイツも「原発」に頼らないといけない、と指摘した。

「政府はフクシマに学び、事故はドイツでも起こるし、脅威だと言っているが、この冬は他に手立てがない。再エネだけだと不安定だし、ドイツは製造業、輸出の国であり、安定したエネルギーは不可欠だ」と男性は真摯に語ってくれた。

 次に応じてくれたのが、ドイツ人の仲睦まじい夫婦。

エネルギー問題を我が事に引きつけて考えていた ⒸNewsPicks

 彼らは、取材班の質問の一つ一つを噛み締めた上で、ドイツは原発にも石炭にも頼ってはいけない、と強調した。また、ロシアの代わりに、カタールなど他の産油国から天然ガスを受け入れることも、別の専制国家を援助することになってしまうので拒否すると言う。

 その代替手段は、太陽光と風力という再生可能エネルギー。もちろん、この2つだけでは冬を乗り越えられないことは理解している。

「確かに今は足りない。だけど、今はみんなで我慢するしかない。今あるエネルギーで何とかすべきで、きっと若い次の世代が、サステナブルな新しい発明をしてくれる。『必要は発明の母』なのだから」と話した。

Z世代の本音は「自国のエネルギーに集中するチャンス」

 だとしたら、やはり「次なる世代」に話を聞かねばならない。

船遊びをしていた若者たちは…… ⓒNewsPicks

 取材班は、ベルリンを東西に走るシュプレー川の船上でパーティをしていた女性たちに、インタビューをさせてもらうことにした。この5人、聞けば、18歳、19歳とのこと。