だが、ひとたび彼女らにエネルギーのことを聞き始めると、話が止まらないほど自分たちの意見を伝えてくれた。
「今年は節湯しなければいけない。けど、今が自分たちの太陽光とか自国エネルギー源を見つけるチャンスだわ」
「プーチンは、『お願い、ガスを送って』ってドイツに言わせたいだけ。絶対に依存したくないし、応援なんか絶対にしない」
「エネルギーコストは上がるし、対策は難しいけど、今ほど自国のエネルギーに集中するチャンスはない」
「エネルギーにはもともと関心があったし、戦争でもっと考えるようになった。地球温暖化も同じで、前は興味なかったけれど、今はいつも話題になっている」
誕生日パーティの真っ最中だったにもかかわらず、エネルギーの堅い話も、マジメかつ真正面から語ってくれたドイツのZ世代の姿には面食らってしまった。
ウクライナの戦争は”グリーン”な未来を加速させる
ほかにもたくさんの街頭取材を試みたが、共通していたのは、全員が自分の意見を真正面から表明してくれること。そして、考え方の相違こそあれど、自国のエネルギー政策を冷笑的、シニカルに捉えることなく、原発への賛否はあっても、脱炭素電源100%という政府の方針を大きな意味では支持していることだった。
もちろん、これはベルリン都市部での一握りのサンプルに過ぎず、ドイツ全体を網羅しているとは到底言えないことは承知している。だが、ウクライナとの距離も近く、エネルギー問題もより切迫するドイツで、この状況をいかに乗り切り、中長期的にロシア依存を脱却していくのか、多くの人が自分の意見を持ち、実際に前に進んでいこうとする姿を目の当たりにすると、やはり、圧倒されるものがあった。
実際、国際エネルギー機関(IEA)の最新のレポートでは、「ウクライナの戦争はむしろ脱炭素を加速させる」という見通しが示された。ドイツを始め、欧州諸国の動きは、むしろ“グリーン”な未来を加速させるのかもしれない、と強く思わされた瞬間だった。
◆◆◆
※筆者ら取材班が、ドイツを含む世界の5カ国を周り、気候変動やエネルギー、食糧問題まで、地球規模の課題に規格外のイノベーションで取り組む人々(イカれたやつら)を訪ねて歩く「地球極限GREEENイノベーションジャーニー」は、現在NewsPicksで配信中(初回無料)