大手スーパー「ライフ」を創業した「ライフコーポレーション」の名誉会長、清水信次氏が10月25日、老衰のため死去した。96歳だった。葬儀は近親者で済ませた。後日、お別れの会を予定しているという。

 売上高は約7600億円、関東や近畿を中心に約300店舗を擁する大手スーパー「ライフ」は、地域特性に応じた店舗展開と、多様なPB商品が特徴だ。

戦争を生き残り、闇市で商売を始めた

 このライフを一代で築き上げてきた清水氏は1926年、三重県津市で生まれた。

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昨年まで64年間、代表権を持ち続け「怪物経営者」と言われた清水氏

「1944年に応召し、配属されたのは、“陸軍版・神風特攻隊”。九十九里浜で、上陸する米軍に肉弾攻撃をかける部隊です。清水氏は『出撃命令は出ていたのですが、8月15日の終戦の詔で救われた』などと語っていました」(経済部記者)

 戦後は闇市で食料品を売る日々。転機は1950年の朝鮮戦争だ。GHQと直談判し、“横流し物資”を大量に購入したのだ。この時の様子をNHKスペシャルでこう振り返っている。

「マッカーサーには政商がついていた。そこに行って、どなたか日本語が分かる人はいませんかとやった。現金じゃないと取引しませんというので、トランクに詰めた現金を見せて、ね」