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ベッドタウンで子育て、ミニバンの維持費が将来を不安に

 子どもがいる仮定において、車の維持費はどう影響しているだろう。国民生活調査において児童のいる世帯の年収の平均値として示された「745.9万円」をもとに考えてみる。

 夫婦の合算で月収54万円、ボーナス100万円で、世帯年収748万円としてみよう。月の手取りは約40万円とする。

 

 家計調査によれば、3人世帯の平均消費支出は約28.5万円。これは必ずしも児童のいる世帯に限らないが、2005年の国民生活白書に見られる子どもの年齢層別消費支出を見ると、3歳~5歳の子が1人いる世帯の消費支出が約28.5万円と、ほぼ同じ数値を示しているので、これをもとに考えてみたい。

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 まず住居と自動車をめぐる費用をリセットして考えるため差し引くと、支出は23.3万円。住居は埼玉県の所沢エリアで、2LDKを8.5万円で借りると仮定し、31.8万円。ここに車の維持費が加わる。

 

 約400万円のミニバンを、前車の下取り150万円を元手に購入するものと考え、5年ローンで年に2回15万円のローンを設定。月々の支払いはおよそ2.2万円だ。

 駐車場は月8千円で、税金や保険、ガソリン代やメンテナンス費用を月で割ると約2.3万円になる。車にかける月々のコストは合計で約5.3万円であり、全体の支出は約37万円。

 

 ボーナスを計算に入れなくとも、月に3万円程度の余裕が出る計算だが、やはり教育資金や老後資金の不安は否めない。日本金融政策公庫の調査によれば、高校から大学までにかかる費用の平均は、子ども1人あたり942万円。たとえばこれから15年で1000万円を準備するには、月に5.5万円の積み立てが必要になる。

 老後資金についても、一般に言われる「夫婦で2000万円」を基準とするなら、35年にわたって月5万円の積み立てが必要である。つまり理想を言えば、教育資金と老後資金として月に10.5万円を貯蓄しておきたいところだが、車に5万円以上かけている現状ではかなり難しい。

 もちろん一般的には、年齢とともに給与水準も上昇するのだから、今から定額を積み立てておく必要はないのかもしれない。しかし、子どもの成長にともない習い事や学習塾など、教育費用も増えていく。そのうえ、もし2人目の子どもが生まれ、こちらも大学まで出そうと思えば、家計はかなり逼迫する。

 さらにマイホームの購入など、子持ち世帯にとって憂慮すべきポイントは多い。会社側の福利厚生として家賃補助、住宅補助などがあればまだよいが、そうでなければ「将来の安心と引き換えに車に乗る」ような状況にもなりうる。

 なお、このケースでかかっている自動車関連の税金は月に約7800円。うち自動車税と重量税が4000円ほど、ガソリン関連の税金が3800円ほどだ(月に700km走行、ガソリン代9000円とする)。家計をじわりと、しかし着実に圧迫する額である。