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 車を必要とする程度にもよるが、このモデルでは手取り額の20%以上を車関連の費用に割くことになり、あまり現実的ではなさそうだ。仮に、車体を一括購入できる資金が貯まっていたと考え、ローン分の1.5万円を差し引いたとしても、手取り額の12%を占め、月の収支としても5000円ほどの余裕が生じるのみだ。

 総じて、軽自動車であれば税金は安く済むが、若者にとっては任意保険料の高さや、駐車場代が所有のネックになる。東京都心部から電車で40分~50分ほどのエリア、たとえば八王子や昭島などであっても、駐車場代は1万円を超える物件が多く、家計を大きく圧迫する要因になってしまう。

 なお、上に示した費用のうち、税金分はおよそ月3200円。自動車税と重量税を月割りにして約1200円、ガソリン関連の税金が2000円弱となる計算だ。格安の維持費で知られる軽自動車でも、税金だけで「大手携帯キャリアの廉価版プラン(ahamoなど)」と同程度の出費が必要になる。

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23区在住の28歳男性が普通車を持つのは「高望み」?

 次は20代後半の男性をモデルケースとして設定する。賃金構造基本統計調査から、東京都で働く25歳~29歳男性の平均的な数値を引いてくると、月収は約31万円、ボーナスは約79万円であり、年収にして約450万円となる。月の手取り額は23万円ほどだろう。

 

 34歳以下の男性単身世帯(勤労者)における平均消費支出は約15.3万円。自動車関係の費用を引くと、14.4万円だ。しかし、家計調査における値は全国平均であるから、家賃地代が約3.4万円と東京都としては低い。

 居住エリアとして中野から練馬あたりを想定し、1Kで家賃7万円のアパートに住むものと仮定すると、自動車関連を除く支出は18万円ほどになる。

 

 ここで、諸経費込みで280万円の新車を、頭金100万円の5年ローンで購入するものとしよう。年に2回10万円のボーナス払いを設定すると、月々の支払いは1.8万円ほどだろう。

 駐車場代として月2万円、さらに税金や保険、ガソリン代やメンテナンス費用で2.4万円。月々にかかる車関係の費用は全部で約6.2万円になり、支出の合計は約24万円と、手取り額をオーバーしてしまう。

 

 仮にここで、頭金の100万円に収まる軽自動車を一括で購入するなら、月の維持費は3.5万円ほどになると考えられる。合計支出額は約21万円であり、手取りに対して2万円ほど余裕が生じる。

 もちろん居住エリアにもよるだろうが、「月収30万円の若者が23区内で車を持とうとすると、一括で買える範囲の軽自動車でギリギリ」といったラインが見えてくる。