「券を持たずに両国国技館へ行くと、男から『5000円だよ』と声を掛けられた。断ると…」
検察官の冒頭陳述によると、被告人は高校を卒業後は数々のアルバイトをして、犯行当時は無職だったという。被告人は1995年からダフ屋行為で生計を立てていて、2001年と2002年に本件と同じ罪で罰金刑を受けていて前科2犯。
入場券を購入した男性は取り調べに対し「券を持たずに両国国技館へ行くと、男から『5000円だよ』と声を掛けられた。断ると『3000円でどう?』と言われて入場券を買った」と述べたそうです。
一方、被告人は「週に5日ほどダフ屋行為をしていた。普段は宝塚、クラシックコンサート、演劇などのチケットでやっていた。暴力団などとは関係なく個人で活動していた。今回の入場券は、金券ショップで500~1000円で買った券だった」と供述したそうです。
元々は無料のチケットが金券ショップでは1000円で売られ、末端価格が3000円にまでなっていたという事ですね。あまり語られない事実ですが、相撲の歴史の1ページとしてここに記しておきます。
週5日活動してプロのダフ屋として生計を立てていた人物。芝居やライブと同じように、金になると思って技量審査場所の入場券にも手を出したという感じでしょうか。
そしてはじまった被告人質問。浮かび上がった「珍しいパターン」
被告人質問です。まずは、弁護人から。
弁護人「まず、起訴状の内容に間違いないですね?」
被告人「はい、間違いないです」
弁護人「暴力団との付き合いは?」
被告人「ないです」
弁護人「会場とか劇場の前でダフ屋行為をしてる同じような人がいると思うんですが、そういう人と話すことは?」
被告人「ないです」
ダフ屋行為って他の裁判を傍聴して知ったのは暴力団などが組織的に行っているケースが多いんです。しかし、被告人は同業者と喋ることもしない一匹狼。ちょっと珍しいパターンです。