自分より年下の相手や立場が下のはずの人(たとえば部下、取引先の営業)に対しても、気を遣いすぎて下手に出すぎてしまい、いつのまにか相手の言いたい放題になっていたり、向こうが気を遣うはずの立場なのに、こちらがへつらってしまう結果、相手の言葉や態度に傷ついてしまう。
自分の気持ちより、相手にどう思われるかばかりを優先してしまう。
このように、相手の顔色や機嫌、反応に敏感だという点は、不安型愛着スタイルの最大の特徴だといっていいだろう。
承認欲求や見捨てられ不安が強い
顔色や相手の反応に敏感であるということは、言い換えれば、相手に認められたい、気に入られたい、愛されたいという思いの反映でもある。こうした欲求を「承認欲求」というが、不安型愛着スタイルの人では、承認欲求がとても強いのである。
認められたいので、相手の期待することを読み取り、相手の意向を忖度して、言われるよりも先にこちらからそれに応えようとする。相手を喜ばせようと、過剰ともいえるサービスや奉仕をしてしまうのだ。
子どもの頃は、「良い子」や「優等生」として頑張ろうとして、勉強に励んだり、家事や親の手伝いやきょうだいの世話を進んでしたりする。親の愚痴や泣き言を聞き、親を慰めたり、助言したりするケースもある。本来は親の役割であることを、子どもの方が果たすことで、親を支えようとしている。親を喜ばせたいという気持ちが強く、逆に親が不機嫌だったり、悲しそうにしていたりすると、がっくり落ち込んだり、気持ちを掻きむしられたり、やり場のない怒りを感じたりする。
そうした傾向は親以外の存在に対しても強く、自分のことを置いておいても、人の相談に乗ったり、世話を焼いたり、尽くしてしまいがちだ。大人になる頃には、そうした傾向は、その人の人格の一部のようになっている。「いい人」と思われたいという気持ちがどこかにあり、相手から頼られるとむげに断ることができない。つい、いい顔を見せてしまうのだ。
強引で自分勝手な会社の上司や同僚、図々しい友人や恋人に対してだけでなく、出会ったばかりの素性のわからない相手や物売りに対してさえ、悪く思われることを恐れ、相手を傷つけないよう配慮しすぎて、相手に合わせるようなことを言ってしまう。拒否や反撃が必要な場面でも、相手に嫌われまいと、拒否の態度が取れず、いつのまにか相手のペースに巻き込まれ、大変な迷惑や損害をこうむってしまうこともある。