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「セクシー」の定義を変えた中島

 こんなにスクスク成長し、正攻法で夢に向かう姿を見せてくれるグループは稀。今だからこそそう思えるが、2011年のデビュー当時は、正直違和感が勝っていた。明らかにコドモなメンバーが5人中3人。なのに「セクシーゾーン」というデンジャラスな響きのグループ名を背負い歌っている。投げキッスをする映像を観て「この子たちは大人になったらどうなるのだろう」と思ったものだ。

 誰か一人くらいヤバ系ワイルドエロに育ってもおかしくない。いや、消えるかも? そんな余計な心配をよそに、彼らは予想外のクレバーさと真面目さを見せた。11年目の今まで、ジャニーズで唯一全員ノースキャンダル。そして不釣り合いな小道具に見えていた薔薇が、素晴らしく似合うグループになっていったのである。

©文藝春秋

 反抗期があり、一番ヤバ系ワイルドエロの危険性があった菊池風磨も、全裸すらファミリーで和やかに見ることができる上品な紳士となった。中島健人は「セクシーサンキュー」という言葉を発明し、大喜利状態で言い続け、おかげで「セクシー」の定義が「感謝と褒め言葉の枕詞」になってきている。小さかった佐藤・松島・マリウスは感心するほど、まっすぐキレイに穏やかに育っていった。

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 ともすれば性的な感じが定着してしまう厄介な看板に「気品」をリペインティングしていった奇跡。これを先読みしてこの5人を選抜し、このグループ名をつけ、小さな彼らに薔薇を持たせたのなら、いやはやジャニー喜多川氏、恐ろしき預言者である。

Sexy Zone(Johnny's netより)

 このマイルドな成長は、きっと幼いメンバーの模範になり世話をしてきた年上組、その背中を素直に追った年下組の信頼関係で成し得たものだろう。デビュー当時の画像を見返すと、前に並ぶ幼い3人を気づかって覗き込むあまり、中島と菊池が俯き加減になり、二人の顔があまり映っていないショットが多く、とても微笑ましい。そして常にセンターには、佐藤勝利が11年まったく変わらない、クリーンな笑顔を輝かせている。ある動画で、菊池が佐藤のことを「初期アバター感がある」と例えていたが、とても分かる。11年も芸能界の荒波の中で過ごしながら、なにも余計な汚れがひっついていない佇まいはすごい安心感だ。