文春オンライン

genre : ライフ, 社会

 でも、この生産性という言葉が勘違いをされやすい。ついつい「今より頑張ってたくさん作ればいい」と思いがちですが、経済学的にも統計学的にも、粗利(売り上げから原価を引いたもの)を何かで割ったものが生産性ですから、仮に粗利が一定だとしたら、労働時間が増えただけ生産性が下がってしまう。また、闇雲に作ってもパフォーマンスが落ちて売れなければそもそも利益がでない。

 ルーチンワークがAIのものになっていくこれからの時代、人間の仕事はサービスや商品をいかに高く売って粗利を増やすのかという発想力が大事になってきます。そうである以上、情報交換や交流の有効性は上がりますから、私は吸わない人も「コーヒーでも飲みに行きましょう」と積極的に“サボった”方がいいと思っています。

 

タバコに払った税金の行方

黒田 たしかに「タバコ休憩や!」って責められてるのも見ますね。でも、こうやって吸いづらくなっている世の中でも、「そんならタバコを禁止にしてみろ」と言うたら、国はできないんですよ。税収がありますから。

 しかしね、じゃあたばこ税がどう使われてるのかといわれても、ピンとこない。これだけ税金の使い道に関心がある世の中ですし、吸ってる人間には、「自分が払った税金を何に使ってるんや」って訊く権利があるはずです。

 競輪や競馬の場合、体育館なんかを作れば「競輪の売り上げ金の一部で建ちました」と書いてありますよね、なんでタバコの場合はそういうのを見かけないんでしょうか。

飯田 たばこ税は一般財源なので、昔のガソリン税の「道路特定財源(=道路の維持・整備のために使うと決められている税金)」とは違って、所得税や法人税と同じように色んな用途に使われるんですね。だから、「入った税金をこれに使いました!」とはっきり言われづらいんです。対象が明確な税金は目的税むきなところもあるんですけどね。

黒田 喫煙所整備みたいな吸う人のための利用でなくても、たとえば「たばこ税でこども食堂を作りました」と言われたら、僕らも優越感に浸れるじゃないですか。

 

 国は、タバコは健康に悪いから止めて欲しいと言い、吸える場所も減らしつつ、そうやって締め付けながら、本音では税金が減るから買ってくれな困る。でも、喫煙者が「カッコよく」みえるようには税金を使ってくれない……。喫煙者のための政策を実現してくれる政治家が欲しいです(笑)。喫煙者も社会の一員なんですよ。

飯田 喫煙すること自体は認められた権利ですしね。

 法哲学の伝統的な概念に“愚行権”というものがあります。「愚かな行ない」も、人に迷惑をかけないでマナーを守れば、また楽しいものです。「健康に悪いのは百も承知でする権利」まで規制してどんどん窮屈になった結果、全部が全部、学級委員長みたいに“品行方正”でないと怒られる社会の雰囲気になっては、それこそ健全ではありませんから。

構成=石井謙一郎

写真=佐藤亘/文藝春秋

その他の写真はこちらよりご覧ください。

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー