1ページ目から読む
2/3ページ目

ハウルの最初の印象は「見た目からやばいやつだなと」

 もともと昨年5月ごろから、小川容疑者が中心となって「歌舞伎町卍會」というグループが結成され、広場で清掃活動をしていた。そのことを佐藤氏が知ったのは昨年10月ごろだ。

「飲食店で13歳の少年と知り合い、LINEの交換をした。すると、お腹が空いているというメッセージがきたんです。聞くと、行くところがないし、飢えているという話になった。そこで一緒にご飯を食べるようになった。その頃、居場所のない子たちが集まっているということを聞いて、広場に行った。そこにハウルがいました。当時はまだ炊き出しはしておらず、清掃活動をしていたんです」(同前)

 小川容疑者はサングラスをかけ、金髪に染めている。バイクにまたがっている姿が印象的だ。

ADVERTISEMENT

「この頃すでに、『歌舞伎町卍會』というグループはありました。第一印象は見た目から、やばいやつだなと思ったんです。そのグループは、ハウルが総会長ですが、ほかにも副会長や特攻隊長など、いろんな肩書きの人がいたんです。暴走族のルールや慣習なんでしょうか。毎日のように(歌舞伎町に)いるのもすごいです。でも、ハウルは実名も年齢も出していない。話を聞きに来た警察にも言わないので、ある意味、幽霊みたいな存在だった。ちなみに、氏家さんが亡くなった事件でも、捜査員に名前を言っていません」(同前)

逮捕された「ハウル」こと小川雅朝容疑者

 なぜ名前を言わなかったのだろうか。

「すでに報道で出ていますが、過去の事件について触れられるのが嫌だったのでしょう」(同前)

 この事件とは、2015年1月、小川容疑者が石川県警金沢西署に逮捕された事件だ。2014年11月、当時住んでいた実家で10代の女性に対する強姦の疑いが持たれていた。不起訴となったが、過去の逮捕について周囲に知られたくないという単純な思いがあったのだろうか。

ハウルの夢は児童養護施設を作ること

 一方、小川容疑者の「子どもたちを助けたい」という志はどこまで本当だったのか。佐藤氏はその思いを聞いている。

「ハウルには児童養護施設を作りたいという夢があります。小学校3年生のとき、家を出て、家族と縁が切れ、児童養護施設で過ごしていました。辛い思いをして、ホームレスの経験もあったようで、(一般社会と)差を感じていたようです。

 今の職業は彫り師見習いですが、かつてはホストもしていた。でも、ホストに向いていない。女性を騙して貢がせることはできない性格です。活動は清掃のほか、子どもたちの相談に乗ったり、炊き出しもしていました。料理が好きなんです。他人から『美味しい』と言われるのが生きがいのようです」(同前)