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ハウルはみんなを公平に扱っていた

 小川容疑者の思いや活動に賛同した佐藤氏は、10月中に一緒に活動をすることになった。

「広場の空間で、当時のハウルは独特な感じでした。いろんな人に話しかけていました。子どもたちだけでなく、おじさんやホームレスにも。すごいなと思いました。一方で、広場に集まる子どもたちも、マナーは悪くないんです。大人を見た目や肩書きで差別しない。受け入れてくれる。チャット文化の影響なんでしょうかね。そのなかにハウルがいる。

 ハウルは見た目が怖いので、一見、(周囲の人を)差別しそうじゃないですか。でも、公平に扱うんです。ハウルだけじゃなく、コミュニティに魅力があった。私はもともと社会活動をしていたので、活動をするなら行政に届け出たほうがいいと言いました。他のメンバーはそうしたことを知らなかったので、私が手続きをしました」(同前)

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 広場にはいろんな人、グループが集まる。そのため、言い争いがあったり、ときには暴力事件も起きる。そんなとき、小川容疑者は「歌舞伎町卍會」のメンバー同士であっても、メンバー以外であっても、トラブルに介入していたという。その様子の一部を小川容疑者はツイッターにあげたりしていた。

「トラブル解決について、一部にはハウルをよくないと思っている人もいると思う。喧嘩もしていますしね。だから、広場にいる誰に聞くかによって、ハウルの評価も変わります」(同前)

歌舞伎町卍會による広場での清掃活動 ©渋井哲也

「ハウルがやってきたことは、全部が悪いわけじゃない」

 今回の逮捕は、都青少年健全育成条例違反(未成年淫行)の容疑だった。子どもたちを支援する団体の代表者が、その支援対象の子どもを性的に見ていたことになる。

 被害者の女性は16歳。「警察に補導されたら21歳と言うように」と指示された、との証言も伝えられている。

「被害少女は昨年5月から広場に来ていました。被害少女は、親からの被害もあるからこそ、家出をしていたんです。逮捕後にも話しました。何度も家に行っているということは事実上、付き合っていたという認識のようです。一緒に住んでいるのに近い状態でした。カレンダーには、関係を持った日にマークが付けられていたのを見ました。ただ、一般に“トー横キッズ”の話は話半分に聞かないといけないので、今後の捜査でどうなるのか……」(同前)

 今回の逮捕を受けて、「歌舞伎町卍會」は緊急幹部会を開いた。そこで「お詫び」を出した。

「ハウルがやってきたことは、子どもたちの相談に乗り、ご飯を配ることです。全部が悪いわけじゃないです。

 ただ、プレスリリースに『皆様の期待を裏切る』と書いた通り、新宿区にはボランティア活動を受理してもらい、歌舞伎町交番とも連携をとっていました。メディアにも取り上げてもらいました。今回は被害者がいる以上は、そのまま活動を再開することができません。どのような形にするのかは検討中です」(同前)