それで退職届を提出するのにも、電話で人格否定されて恫喝(どうかつ)されるので一人で行くのが怖くて、労組の人に付き添ってもらったんです。
社長は障害があり目が悪くて、どうやら労組の人がいたことに気づいていなかったようで、気づいた翌日、家に刑事が来て住居不法侵入罪で訴えられました……。
その会社は、放課後デイサービス事業はまだできて3〜4年くらいの会社でした。放課後デイサービスは補助金が出て儲かるようです。社内のパワハラがあまりに酷かったので、周囲で会社や社長の名前を出すと、知る人ぞ知るという感じでした。強引で悪質な体質だって。今年に入って、この代表が暴行の現行犯で逮捕されたことを知りました。やはりそういう人と会社だったということですね。今もこの放課後デイサービスは変わらず営業しています。
この事件の後、失業保険を受けながら職探しをするうちに、今の会社と出会ったのです。
家と学校の間をつなぐ場を作りたい
私は、放課後の午後3時以降の時間帯とは重ならないで働きたい。放課後の子どもの居場所作りの夢に理解を示してくれた社長は、そうした働き方を認めてくれました。
実家は遠く、私も子どもも、ここではよそ者です。おじいちゃん、おばあちゃんがいるわけでない。私たちにとっても、ふらっと寄ることができる場所が必要です。
特にコロナ禍で子どもたちは放課後に自由に遊べず、家でゲームするしかなかった。学校も感染予防でピリピリしていて、雰囲気がギスギスしているのか、息子も「行きたくないなー」と言って登校拒否することもよくありました。家と学校以外の場がないと。
公的な「学童」は感染予防でひたすら座学をさせるばかりで、子どもが行きたがらなかった。楽しそうな人気のある民間学童は人が集まりすぎてパンク寸前だし、費用が月数万円もかかる。どこにも居場所がない。だから私はその誰かにとって居心地がいい、安心できる居場所を作りたいと思ったのです。
子ども食堂が話題になっていますが、これまでの活動で大勢「参加者」が来ても一人ひとりに目を向けられない現実を目の当たりにしてきました。私は目の前の一人を大切にできる場作りを目指していきたいと思います。