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マクドナルドさえ高くて行けない「年収48万円女性」が“サイゼリヤだけは神”と崇拜するワケ

『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』 #3

2022/11/21

 子どもの知的障害の発覚を機に、正社員の仕事をやめた38歳女性にインタビュー。一時期は借金が500万円に膨らんだ時期も。子どもとマクドナルドに行くことさえ躊躇する、年収48万円の彼女(世帯年収は400万円)が「サイゼリヤだけは神」と崇拜する理由とは?

 労働問題に詳しいジャーナリストの小林美希氏の新刊『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』より一部抜粋してお届けする。(全3回の3回目/#1#2を読む)

年収48万円の彼女はなぜ「サイゼリヤ」を崇拜するのか?(画像:時事通信)

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子どもを優先してクビに

 子どもが保育園に通っている時に知的障害があることが分かって、子どもの生活を優先した働き方をしようとしたら、クビになってしまいました。

 療育支援の必要な子をみながら、正社員では働けません。仕事を辞めてからは、保育園の利用料を滞納して、借金まですることになりました。

 3人の子どもを育てながら正社員のヘルパーとして介護施設で働いていたのですが、夜勤や遅番をやって一人前。それは難しいと感じて中子の知的障害のことを職場に相談すると、原則として夜勤のないパートになったらどうかと勧められました。

 パートになって週5日で働くことになりましたが、子どもが週に1回、療育支援に通うことが必要になり、週4日勤務に変更してもらおうとしたのです。

 パートだから大丈夫だろうと思っていたら、事務長が「子どもをみてやれよ」と言い出して。勤務日数の変更を認めてくれず、あまりにもきつい口調で「辞めろ」と言われてしまって。予想外だったので、ええー? と思いましたが、その場で「じゃあ、辞めます」って言っちゃったんですよ。中途半端に出勤されるとシフトを調整するのが面倒だったのかもしれません。どこも人手不足ですから。

収入ゼロからの借金地獄

 その頃、私の月収は手取り18万〜19万円で、看護師の夫の月収は22万〜23万円。二人合わせた収入なら、問題なく暮らせたんです。

 薄給とはいえ安定収入を失って、私の収入はゼロ。いやー、きつーい、きつい。十数年働いても、退職金は40万円しか出ないし。そこからは借金、借金で、借金地獄です。

 家のローンが月8万円あります。携帯電話の料金や光熱費が4万〜5万円。食費は3万円くらいかな。もろもろの生活費が月5万円足りなくなって、銀行に借金したんです。

 保育園の利用料も払えず、家と土地の固定資産税が年6万円かかり、それも滞納。市役所に行って、返済できませんと相談して、翌年に分割で払いました。

 娘が中学の時は、給食費、教材費が毎月6000~8000円もかかって痛かったですよぉ。あれ? 義務教育ってこんなにお金がかかるんだっけ? 誰も何も言わないの? 違うんじゃない?って、すごく思いました。

 仕事を辞めてから7年間の借金のピークは500万円にも膨らんでしまいました。パパ(夫)の名前で借金して、銀行だけでは足りずに「イオンクレジット」にも手をつけて。他の銀行に行くと、消費者金融の審査があると言われて、目が点になったり。最後は債務整理をしたので、パパが辛かったと思います。