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「園児はお金、親もお金」自称“中流以下”の48歳男性が語った「ある保育会社」の不正

『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』 #1

2022/11/21

「園児はお金、親もお金。お客様は神様です。おべっか使って機嫌をとっておけばいい」

 異業界から保育業界に転職した48歳男性にインタビュー。“中流以下”を自称する彼が語った「保育会社の不正」とは? 労働問題に詳しいジャーナリストの小林美希氏の新刊『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』より一部抜粋してお届けする。(全3回の1回目/#2#3を読む)

自称“中流以下”の48歳男性が語った「ヤバい保育会社」とは? 画像はイメージです ©getty

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転職前は年収800万円だったけれど……

 本当に、もう、何もしちゃいけないんですよ。何かしたらお金を使うでしょ。じっと動かないでいるしかないんです。

 異業界から保育業界に転職して3年間、保育園を運営する会社の本部で働いていました。それ以前は年収が800万円あった時もあるんです。けれど、保育会社に転職したら年収は520万円に減りました。手取りだと400万円。

 妻は専業主婦なので僕だけの収入だから、生活はかなり苦しくなりました。月収だと手取り32万円ですが、毎月、貯金を取り崩してなんとかしています。

 転職時は給与が多少低くても仕方ない。管理職での採用だったので、あとから昇給すると信じていました。それが、同じ役職でも人によって給与額があまりにもバラバラ。低い金額で入社するとずっと低いままで変わらないと、後から知りました。

 昇給についてルールがないんです。えー、そんなのあるのかって信じられなかったですよ。わりと大きな会社なのに。社長と社長の取り巻きの役員連中だけ高額報酬をもらっていて、ほとんど仕事はしていない。

人を大事にしない「会社の闇」

 それで、ある幹部が社長に物申すと、入社時より25%も賃金ダウンとなったんです。社内の様子を見ていると、どうも、この先、収入が増える見込みがしないんです。

 僕一人の生活ならなんとかなるかもしれませんが、妻は体調が良くなく働けないし、娘は小学校高学年でこれからお金もかかってくるし、これじゃあ生活していけないので、保育会社を辞めました。早い段階で「会社の闇」っていうんでしょうか、そういうところが見えたんです。人を大事にしないんですよ。

 僕は保育業界に入る前は長年、労務を担当していたのですが、異動希望をとられたので書類に「総務部」と書いて出したら、学生アルバイトでもできるような補助金の申請業務の部署に移されたんです。これ、私が労働組合に入ったからだとしか思えないんです。

 補助金申請のエクセルを打っていて、どうも数字が合わなくて。それを上司に相談したら、「データを合わせろ」と命令されたんですよね。これ、補助金の不正請求だろうなとピンときたんです。だから、前任者にヒアリングしていたら、「部署を越えた越権行為だ」「情報漏洩(ろうえい)だ」と言われてしまいました。それで労組に相談したら、懲戒処分を受けたんです。