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 人事面接では社長はいつも、僕たち管理部門も含めて保育士の待遇もよくすると言うんですが、ハッキリ言って、「するする詐欺」ですよ。社長の“お気に入り”は給与が高くて、そうでないといつまでも収入が増えない。人事評価制度がちゃんと機能していなくて、客観的な評価がどうだったのかも分からないんです。

 社長に何か苦言を呈するだけで造反したと見られて、懲戒処分を受けて排除されるんです。

 これは保育園の園長も同じです。次々に保育園を増やしているので、一定の規模になると行政も潰せなくなるのではないでしょうか。大手・中堅なら、もちろん政治家にロビー活動もしているはずです。そういうコネや資金力があれば、不正を行っても「じゃあ、いいよ。明日から保育園を全部閉めるから」と役所に強く出たら、行政は手も足も出なくなるんです。売上高が10億円を超えたあたりから、そういうケースが多くなってくるんじゃないかな。

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善意だけで現場がもっている

 保育園の現場を見たら、質が低すぎてびっくりすると思いますよ。残念な経営陣が残念な保育環境を作っているんですから。保育士が可哀想ですよ。うちの会社は賃金が低いし、人手もギリギリ。残業しても残業代は出ないのですから。

 園長クラスはすぐそれに気づいて、「会社に何も求めない。子どもたちの笑顔だけ」と言っていて、もう、本当に善意だけで現場がもっていると痛感しました。とにかく現場は大事にされないから、それもすぐ限界がきて保育士も園長もすぐ辞めていくんです。社長が優先するのは会社の規模拡大、それだけ。

 労組で現場の相談を受けていて分かったことがあります。各保育園の保育士で少し仕事ができるようになって、冷静に自分の置かれた職場環境を見ることができるようになると、ああ、会社には期待できないんだなと気づいてくる。

 でも、他の会社に転職しても似たりよったりだろう。今いる保育園なら園長になって一国一城の主になれる。とりあえず、サラリーマン保育士になっておけば、薄給でも安定していられる。

 あとは日々のスケジュールをこなすだけ。登園する園児を預かり、散歩に出て、お昼ご飯を食べさせ、昼寝させて、ケガをさせないように遊ばせて。親の質問やお迎えの時には定型文で答えておけばいい。何か問題があれば、オプション回答する。明日も元気で登園してね。

 園児がいなければ運営費が入らないから、園児はお金、親もお金。お客様は神様です。おべっか使って機嫌をとっておけばいい。保育士は、人を見る目があるんです。社長がいかに薄っぺらいか。組合活動で、そんな不満ばかり聞いていました。