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「時代に取り残された広告会社の妄想なのか」CMでベビーカーを押すのは必ず女性…“子育てはママ”と決めつける日本の問題点

『男尊社会を生きていく昇進不安な女子たちへ』より #2

2022/11/20
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経済的に夫に頼っていたら、離婚に踏み切れない

 昭和生まれの私の中にも、やっぱりどこかに「家事は女性」という刷り込みがあります。いつも家の中がきちんと片づいていて、食事は手づくり、子どもの勉強もしっかり見てあげるお母さんたちと自分を比べて、罪悪感を感じていました。でも、そういう気持ちはササッと流してもいました。自分の気持ちを整理できた理由は2つあります。

 ・女性が経済的に自立できないことの不自由さを知っていたこと

 ・子どもにとって、いい影響があると信じていたこと

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 今や3組に1組は離婚する時代。私の両親は離婚していますし、私も結局は離婚しましたが、もし母も私も仕事を続けていなかったら別れられなかったかもしれません。あー仕事しててホントによかった。

 たとえ夫が不倫したって、結婚したあとにモラハラ野郎だったことに気づいたって、経済的に夫に頼っていたら、だまって見逃さなければならない。男女逆のパターンだってまたしかりですよね。

パートナーと同等でいるために

 不倫とかモラハラとか、具体的な理由がなくたって、最初のトキメキが長く続くわけもなく、一緒に暮らしていくうちにいろいろな軋轢は出てくるもの。ときどき男友達から

「離婚したいんだけど、カミさんが専業主婦だから無理なんだよね」

 という愚痴を聞いたりもしますけど(不倫のお誘いではではなくてガチの愚痴です)、何を勝手なこと言ってるんでしょうね? 今からでも遅くないから自分が家事と育児を担当してパートナーが社会復帰できるようにサポートすればいいだけでしょ。でも実際は「今さらそんなことをするのも大変だし、できるだけ家にいる時間を短くしてやり過ごしてるよ」と解決とは真逆のパターンをいく場合がほとんど。本当にどうしようもない。

 経済的に誰かに頼らなければいけない状況は生き方の自由を狭めます。日本の慰謝料や養育費の基準は決して高くはないし、一度仕事を離れて再就職するシングルマザーが経済的に困窮するのは目に見えています。たとえ乳幼児期のいっとき、収入より保育料がかかったとしても、キャリアを諦めなければパートナーと同等でいられる。子どもが風邪をひいたときに病児保育にあずけたって、ウーバーイーツを頼んだって、ホコリがたまっていたって、いいじゃないですか。自分の魂を売り渡すこととは比べものになりません。

男尊社会を生きていく昇進不安な女子たちへ

男尊社会を生きていく昇進不安な女子たちへ

下河辺さやこ

主婦の友社

2022年9月28日 発売

「時代に取り残された広告会社の妄想なのか」CMでベビーカーを押すのは必ず女性…“子育てはママ”と決めつける日本の問題点

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