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「ほとんどの力士が八百長をやっていた」
これを聞いて正直にみなさんにお伝えしたいのが、当時は横綱含めほとんどの力士が間違いなく八百長をやっていたということだ。
現に私は同じ世界で相撲を取ってきたのだ。新入幕の時、11勝4敗の成績で敢闘賞をもらったが、その場所で14勝1敗で優勝しているやつが5番も6番も7番も八百長をしていたのだ。その八百長がなかったら、私の結果が変わった可能性だってあると思うと、「この野郎!」と心の底で憤っていた。こんな世界、絶対なんとかしてやると思った原体験でもある。
それに現役の親方で、過去に八百長をやったことがないと胸を張って言える人間がどれだけいるだろうか。
八百長は、関与しているかどうかという立証が実に難しい。例えばAという力士とBという力士が2人いる中で、Aが「コイツと八百長やってますよ」と言ったとしても、Bが「やってない」と言えば成立しない。いくら裁判所で言っても絶対に勝てないだろう。仲間同士でお金を回しながら八百長をしてきた現状もある。
それでも、私は八百長をなくしたいと思っている。なぜ裁判で勝てないと分かっている八百長を撲滅させたいのか? それは、こういうことをこのまま続けていくと、相撲協会が5年先、10年先を見た時に成り立たなくなるということが想定できるからだ。
八百長ができない、しなくてもいいシステムを構築していけば、八百長は必ずなくなると思っている。そのために私は発信を続けている。