八百長、賭博、かわいがり、裏社会とのつながり……。元関脇・貴闘力が角界のタブーに切り込んだ書籍『大相撲土俵裏―八百長、野球賭博、裏社会…相撲界の闇をぶっちゃける』(彩図社)が発売より好評を博している。
15歳で元大関・貴ノ花の藤島部屋に入門し関脇まで上り詰めるも、2002年9月場所で現役を引退。自身も現役時代に賭博に手を染めた経験がある貴闘力が10年の沈黙を破って明かした相撲界の悪しき風習。その告発の一部を抜粋し、転載する(転載にあたり一部編集しています。年齢・肩書等は取材当時のまま)。
(全6回の2回目)
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相撲部屋とヤクザの共通点
ヤクザも相撲取りも、私からすれば似ている部分が多い。ヤクザでは○○組というが、それが相撲では○○部屋と変わった感じだ。
共通点の1つが、相撲部屋に自分の師匠の額が飾ってあること。これは「親方を敬いなさい」ということで、昔の部屋であれば初代、2代、3代と「その人を敬いなさい」という意味で飾られている。一方のヤクザも組事務所には親分の写真が飾ってあって、同じく「この親分を敬いなさい」という意味だ。
それから住み込み制度がある。住み込みとは文字通り、部屋に住み込みで修行することだ。他にも相撲部屋とヤクザともに家訓のようなものがあることも挙げられる。
もう1つの共通点、それが「移籍できない」ということだ。相撲取りとは不思議なもので、「この親方嫌だな」と思っても自由に他の部屋に移籍することができない。昔のヤクザも破門されない限り移籍できなかった。相撲取りは1回クビになったらどこに行くこともできないため、これが最大のネックだ。
今はヤクザの在り方も変わったが、昔のヤクザの世界ではケンカの腕がものを言い、弱い奴は上にいけなかった。だから相撲取りのように力のある者はヤクザに親近感を持ち、ヤクザも相撲取りに憧れるという持ちつ持たれつの世界があった。
実は私の親父はヤクザだった。