文春オンライン

2022/11/23

円安が止まらないことによる国家経済の衰退

 また、財務省を悪者にして大規模経済対策として押し込んだ今回の件も、「2020年度に比べて法人税が増えて歳入が6兆円伸びました」という話でも分かる通り、2021年度は補正予算で36兆円もの経済対策予算を組んでるんですよ。つまり、36兆円政府支出を増やしたら、6兆円税収が前年より増えましたという話ですので、今回29兆円の総合経済対策をやっていくら税収が増えるねんというところで大変な地雷があります。

 国家の赤字は国民の黒字とかいう与太話も流れておりましたが、無原則に2年で合計65兆円もばら撒いて何年で回収するつもりなんだという話でもあります。

 これが岸田さんのリーダーシップなのだというより、総合経済対策というモルヒネを打ち続け、それでいて成長率が低いので投資が海外からあまり集まらず、他の国はインフレなのに円安が止まらないためどんどん国家の経済が衰退していることになります。これが日本の経済政策においてリフレ派に担がれて時間を無駄にしたアベノミクスの成れの果てであって、なかなかしんどい状況なのではないかなとも思います。

国の税収が過去最高、21年度は67兆円程度 法人税伸びる: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA30DSK0Q2A630C2000000

今年度補正予算が成立 35兆9895億円: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO78614460R21C21A2MM8000

従前から準備してきたものがグズグズに

 かたや、社会保障費は増える中で介護保険や医療制度の見直しも進んでいくと、増加の一途を辿る日本の高齢者をどうやって支えるのかという議論が立ちはだかります。

 単純な話、いま高齢者の窓口負担を1割から2割にするぞと言って猛烈な反対を食らっておりますが、そもそも勤労世帯は3割負担です。所得の低い高齢者の基準に合わせて、いつまでも高齢者に無尽蔵ではない社会保障費を充当しながら、安月給で結婚できない若い男女による生み控えが原因となっている出生率改善や、子育て世帯と教育の問題に割ける予算が少ないのが現状です。冷たい言い方ですが、これから死にゆく高齢者に手厚くしても社会に見返りはないのですから、社会や経済が活気と成長力を取り戻したいと考えるならば、若い人を増やしたり教育をもっと充実させるしか方法がないのは自明です。

 他にも、労働行政でジョブ制への移行と解雇制限の撤廃や、納税の公平性の観点からインボイス制度の導入が争点となりました。いずれも従前から準備してきたものが、政治的リーダーシップのなさゆえにグズグズになって、激変緩和措置を講じさせられるなどの滅茶苦茶になっているのもまた岸田官邸の弱さがモロに出た感じになっています。