政治資金や選挙運動費用を巡る問題で寺田稔総務相を更迭した岸田文雄首相(65)が、昨年の衆院選(10月31日投開票)に伴う選挙運動費用収支報告書に、宛名も但し書きも空白の領収書を94枚添付していたことが、「週刊文春」の取材でわかった。目的を記載した領収書を提出することを定めた公職選挙法に違反する疑いがある。

 岸田首相は広島1区選出。1993年の初当選以来、昨年の衆院選で当選は10回を数える。

苦境に立たされる岸田首相 ©時事通信社

「今年8月の内閣改造で総務相に起用した寺田氏は、同じ広島が地盤で、岸田首相が率いる宏池会の創設者・池田勇人元首相の孫娘を妻に持ちます。2人は同学年でもあり、いわば、首相の“右腕”的な存在でした。ところが、『週刊文春』の報道で、政治資金を巡る問題が噴出。党内からは『(死刑のハンコ発言で辞任した)葉梨康弘法相と一緒に更迭すべき』という声が上がったものの、首相は『寺田さんは悪くない。頑張らせたい』と続投させることにした。そのまま11月12日から19日の日程で外遊に出発したのです」(政治部デスク)

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「週刊文春」11月17日発売号では、選挙を所管する寺田氏が昨年の衆院選を巡り、選挙運動を行った地元市議らに金銭を支払っていた運動員買収疑惑など、複数の公職選挙法違反疑惑を報じた。

「外遊先で報道を知った岸田首相は『いつまで続くのか』と洩らしていました。ギリギリまで『寺田さんを交代させるとは決めていない』と口にし、寺田氏本人も辞表提出に強く抵抗した。ただ、国会審議の停滞は避けられず、結局、11月20日夜に寺田氏を更迭し、後任総務相に松本剛明氏を据えました」(同前)

 だが今回、岸田首相自身に選挙運動費用を巡る疑惑が発覚した。