岸田さんを支える人物は
もうここまでくると、岸田政権が起死回生の策として内閣改造をと言っても、いまから泥船待ったなしの大臣になりたいというまともな政治家がどれだけ自民党内から出てくるのかという話になりかねません。決まらない、進まない官邸の主と命運を共にしたい政治家ってどれだけいるのかってのは大事な問題だと思うんですよね。
仮に内閣改造してほんのり支持率が上がっても、重要な制度に関する審議で次々と岸田政権が運営に行き詰まって腰砕けになってしまえば、閣僚として実績を上げるどころか、1年経たずにまた再組閣だの総辞職だのになる恐れも拭えません。
この「誰がいまの岸田さんを支えるのか」という問題は、かつて第1次安倍内閣で安倍晋三さんが健康問題で辞任した後、福田康夫さんが総理になって1年もたなかった逸話を彷彿とさせます。それでも、福田政権は消費者庁設置や新テロ特措法の成立、道路特定財源の一般財源化への道筋を付けるなどの功績があります。岸田さんの治世1年でのレガシーとは何なのかと言われると大変に心許ない。
納得して道を譲れるように
なので、いま問題なのは「岸田さんはいつまで頑張れるか見守ること」ではなく、「岸田さんが政権を放り投げても、みんなで回転レシーブできるようにしておくこと」になってきたと思います。物事を決められず、政策を推進させられなかった人をいつまでも上に置いておくわけにはいかないのですが、かといって、一度は日本の総理となったからにはどのような事態になろうとも肩を叩いて激励し、背中を見送る花道を残してあげることが大事であろうと。
そして、国民からすれば「そんな岸田文雄なんて投げうてばいい」と思うかもしれないのですが、同じタオルを投げるにしても、一度は位人臣を極めたとも言える岸田さんが納得して道を譲れる有りようを考えるのもまた、民主主義国家の格式なんじゃないかと私は思っております。
どうしても、どうしても福田政権とかぶるんですよ。
岸田文雄さんも福田康夫さんも、人柄としては素晴らしいのは間違いなく、ただ調整型人材であって、決断し舵取りするトップに向かなかったというだけなのかもしれません。
福田さんも、政権を投げ出したと批判されましたが、あのときも福田さん渾身の経済対策が国会通って数日後のことでしたので。