改めて「全国旅行割」とは
さてこの異常な価格高騰の原因となっている全国旅行割、おさらいしよう。この制度はコロナ禍で苦しんだ宿泊旅行業界を支援する目的で国が税金で支援するもので10月11日からスタート。期限は12月20日まで。具体的には旅行する際の料金が40%割引されるもので、割引の上限額が交通機関利用付きの宿泊プランであれば最大8000円、そうでないプランは5000円までの割引が受けられるというものだ。またこれに旅行の際にお土産購入などで使用できるクーポン券が、平日利用で3000円、休日で1000円プレゼントされる。
つまりこのキャンペーン期間中であれば、1人あたり最大で1万1000円の旅行補助が受けられるわけだ。季節の良い秋、それは出かけなきゃ損だよね、となる。ちなみにコロナ禍であるために利用者はワクチン接種3回以上の接種証明書またはPCR検査等による陰性証明書の提示が必要となるが多くの国民が接種を完了しているためあまり障害とはなっていないはずだ。
この制度、発表と同時に各種プランが完売続出となったが、新しい制度というのはどうしても苦情がでるものだ。まずこの制度の仕組みとして、国が予算をもち(この予算は当初国で予定していたGoToトラベルの予算がコロナ禍の蔓延で余ってしまった分をお化粧直ししたと言われている)、各都道府県に配付、予約できる宿泊数分を楽天トラベル、じゃらんなどの予約サイト、JTB、近畿日本ツーリストなどの旅行業者、そして各ホテル、旅館に割り振った。
そのため、予算配分を消化できた都道府県、予約サイト、旅行業者などにばらつきが出る、自治体によって手続きが異なるために現場での手続きが煩雑になり、チェックインに1時間以上かかるなど苦情が殺到した。
論理的には「値上げするのがあたりまえ」
そしてネットなどで話題になったのが、私も驚愕した宿泊料金の高騰だ。全国旅行割に反応し、多くの国民が一斉に予約に走る。これは経済学的に言えば思い切り需要を喚起することに国は成功したことになる。需要が盛り上がれば、供給サイド、つまりホテル旅館側は価格を上げても大丈夫ということになり、宿泊料金を上げる。今ではレベニューマネジメントシステムを多くのホテル、旅館が導入しているから、システムとして自動的に料金を引き上げにかかるのだ。