1ページ目から読む
2/3ページ目

00后(リンリンホウ)たちは物欲がたぎらない?

 また以前の日本と今の中国の類似点でいえば、“親世代の変化”という点も挙げられます。「00后」以前の世代の親は、貧しい中国を経験した文化大革命(文革)世代が多く、モノに囲まれていなかったので、子供に与えるおもちゃのセンスを持ち合わせていませんでした。

子供を絶望の淵に落とすセンスのないおもちゃの数々

 しかし「00后」の親は、経済発展を通していろいろなモノを買った「70后(1970年代生まれ)」。親がモノに囲まれて育ったことで、その子供もセンスのあるおもちゃを買い与えられているのです。

「00后」は小さい頃から及第点の製品を所有し続けた結果、“いいモノにうずもれたい欲”を少年期に満たしてしまい、物欲がたぎらないのではないか。そう思うのです。

ADVERTISEMENT

昔のタイトルで遊ぶ、中国のゲーム事情

 一方、以前の日本と今の中国には異なる点もあります。少し昔を振り返ってみましょう。

 私は中学生のときに、バブル崩壊を経験しました。バブルの頃はファミコンがあり、バブル崩壊の頃にはスーパーファミコンが全盛期になります。いずれの時代も同じ世代のクラスメイトは「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」、「ストリートファイター II 」の新作を、首を長くして待ったものです。

 それ以降も、バブル時代より経済は悪化したものの、多くのゲーマーがプレイステーションやセガサターンを購入しました。

 また90年代はCDやDVDが普及し、人気のCDを買ったりDVDで映画を視聴したりするようにもなりました。

 つまり、以前の日本は不景気とはいえ、次から次に出てくる新商品に国民がワクワクして、自分の中で「これぞ」というモノにお金を落としたわけです。ちなみに私は当時、スーパーファミコンではなくPCエンジンとネオジオを楽しんでいましたが。

 しかし今の中国政府は「未成年者のゲームは週末と祝日のみ。20時から21時の1日1時間だけ」とルールを決めています。さらに「新しいゲームリリース許可を遅らせる」ことで、新タイトルがあまり出なくなってしまいました。だから中国の若者の多くは、昔のゲームで遊んでいる状態になってしまっています。

多くの中国人が今年バズったゲームと認める「羊了个羊」

 もちろん、流行るゲームがあれば盛り上がるのは今も変わりなく、例えば「羊了个羊」というパズルゲーム(麻雀牌を上からとっていく「上海」のようなゲーム)は、中国の学生の間で一気に話題になるほど若い世代を動かしました。でも基本的には、人気のビッグタイトルは数年前のモノばかりなのです。

 メタバースブームを狙った新サービスや、それを利用するためのVR機器も売られていますが、キラーコンテンツ化せず、どうにも盛り上がりに欠ける。しかも値段がなかなか高い。昔の日本でPCエンジンやネオジオが高価でも盛り上がっていたのとは対照的に、ゲーム自体にあまりファンがいません。むしろ中国ではNintendo Switchがややマニアックなゲームのポジションにあります。