人気トレンドが“おっさん・おばさん向け”ばかり…
ほかにも中国で今年流行ったものを振り返ると、かつて流行ったごてごてした食べ物や飲み物から、素材重視の健康志向に変わりました。
またレトロな模型などのレトロチックなモノも人気になっています。“中国風ルネッサンス”とでも言いますか。「国潮(グオチャオ)」なる中国の伝統デザイン再評価ブームがあるなかで、国潮デザインのオシャレな商品が今までよりも高価になっています。
過去の中国のヒット商品——スマホゲーム「旅かえる」のキャラクターグッズや、スマートスピーカー、安く買えるコーヒーチェーンの「ラッキンコーヒー」など——はもっとお手軽価格で体験・共有できたのに。
いやあ、可哀そうじゃないですか? だって、中国の学生は勉強が大変で、インターネットもほどほどにこれといった楽しみもなく過ごしてきたのに、いざ大人になってみれば、人気トレンドが“おっさん・おばさん向け”になっている。しかも、新しくて話題の商品があっても、値段がするわけですよ。日本のZ世代のように、若い時くらいポケモンや妖怪ウォッチを楽しんだほうが幸せじゃないですか? TikTokやYouTubeだけでいいんですか? それだけだとモノ、買わないですよ?
本来なら若い人ほど続々と出てくる魅力的なモノを買ってみたくなるのに、これでは中国メディアが評するような「いまどきの若者は理性的な倹約消費」になってしまうし、本当に買いたいものだけ買う「一点豪華主義」にもなるわけですよ。
日本でおじさんおばさんに人気のモノばかりがトレンドに挙がるように、中国も一気にトレンドの高齢化が進むような気がしてなりません。5カ年計画で高齢化対策が出ているくらいですし。そして若者が消費をしないのなら「中国の消費者経済は盛り上がらないよね」となるわけで。どうなることやらです。
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