記者も同時期にソウルに滞在していたが、この期間の報道で特に印象的だったのはキム・ゴンヒ夫人にまつわる2枚の写真だ。
1枚目は韓国野党の議員が「貧困ポルノ」などと指摘した写真だ。現地報道などによると、11月12日、キム・ゴンヒ夫人は各首脳配偶者が参加する行事をキャンセルしてカンボジアの首都、プノンペンで心臓の病を抱える少年の自宅を電撃訪問している。大統領室は、キム・ゴンヒ夫人が膝の上に少年を乗せている写真を公開した。
「貧困の同情を集めるもので嫌味だ、というのが野党側のバッシングの根拠です。キム・ゴンヒ夫人が黒いシャツを着ていることなどから、オードリー・ヘプバーンがユニセフ親善大使としてソマリアを訪れた際に痩せた男児を抱いた有名な写真のパクリだ、という批判もでました」(前出の記者)
バイデンと腕を組み「媚びて卑しい」と批判
もう1枚はバイデン米大統領との腕組み写真である。
「なぜわざわざ腕を組む必要があるのか、という批判です。バイデン大統領は5月に訪韓した際にキム・ゴンヒ夫人のことを『ビューティフル』と激賞していた経緯があり、媚びるのは卑しいという批判ですね。ただムン前大統領の妻のキム・ジョンスク氏も仏大統領のマクロン氏と腕組みしていたことが与党の主張で判明するなど、日本以上に下らないことを言い争っています(笑)」(前出の記者)
韓国野党の“口撃”の対象は知人のインサイダー疑惑などさまざまだが、その容姿や振る舞いに関わることも多い。しかし大統領選のさなかにキム・ゴンヒ夫人自身の経歴詐称について謝罪会見を開いたときは黒のシックなスーツ姿に見とれる韓国人が相次ぎ、夫の落選につながることは食い止めるなど、大きな痛手とはなっていない。
ムン前政権で、徴用工問題や慰安婦問題で過去最悪とも言われるようになった日韓関係。ユン大統領は改善に強い意欲を見せているが、注目を集めるキム・ゴンヒ夫人が日本にとってもキーパーソンなのかもしれない。