「ずっとやってないと信じたかったんですけど、『A子がパパ活してる』ってトー横の人に教えてもらって……“オトナ”ってやつをしているって聞きました。それを知った時はA子が帰って来ても顔も見れませんでした。そんなことして『ただいま』と帰ってきて、私がつくるご飯を食べている姿を見ると、どういうつもりなんだよ、って思いがわいてきました。大切に育ててきたのに、そんなことで自分を傷つけてどうするのって」(トー横キッズA子さんの母親)
歌舞伎町・新宿東宝ビル横の広場などに集う少年少女たち、通称“トー横キッズ”。非行に走る彼らの原因を家庭環境に求める声も大きい。現在もトー横に通う娘A子さんとの向き合い方を模索している母親が、悩みを吐露した。
中学校の部活では部長を務めるなど真面目だったA子さんがトー横に通っていることを母親が知ったのは、A子さんが中学3年生になった今年8月だった。それ以降、学校の話題は減り、A子さんは歌舞伎町のことばかり口にするようになっていったという。
「トー横って場所はお酒を飲まないとダメなの?」
9月にA子さんがトー横で急性アルコール中毒で搬送された事件の後は、精神科で治療を受けた時期もあったが、A子さんは一度できたトー横という“居場所”をなかなか離れようとはしなかった。
「救急搬送された後、一度A子のトー横の友達に会いに行ったことがあって『トー横って場所はお酒を飲まないとダメなの?』と詰めたんです。すると友達は『そんなことはありません、私がちゃんと見張るからA子ちゃんが歌舞伎町に来るのを禁止しないでください』ってせがまれて……。その場では『2人のことを信じる』と約束しましたが、結局A子は居酒屋でお酒を飲んだり、『泊まれなければ死ぬ』といって歌舞伎町のビジネスホテルに外泊することまで始めました」
A子さんの母親は、娘との接し方に迷っていた。警察や病院からアドバイスされたように、きつく叱れば『居場所がない』となってコミュニケーションが遮断される可能性が高い。かと言って見守るにも限度がある。「叱って済むならとっくに叱っている」という。
救急搬送後は外泊する場合は誰とどこに泊まるかの連絡だけは来るようになったというが、酒の空き缶やオーバードーズ(OD)の後とみられる風邪薬の空瓶が家のゴミ箱に捨てられるなど、非行はエスカレート。この頃には、週末になると歌舞伎町に泊まる日が続いていた。