歌舞伎町・新宿東宝ビル横の広場などに集う少年少女たち、通称“トー横キッズ”。
彼らに炊き出しで食事を与え、広場の清掃活動などをしてきたボランティア団体「歌舞伎町卍会」の通称“ハウル”こと、小川雅朝被告(33)が少女にみだらな行為をしたとして逮捕されたのが6月のこと。
あれから5カ月後の11月15日、突然の訃報が新宿を駆け巡った。11月22日に初公判を控えた矢先に、勾留先の東京拘置所で死亡が確認された。全国紙社会部記者が解説する。
「小川被告の死因はまだわかっていません。逮捕前から精神安定剤を服用し、周囲には『群発性頭痛がある』『心臓が痛い』など持病を窺わせる発言もあったといいます。逮捕後にはさらに精神的に不安定になり、まともに取調べも受けられない状態でした。ただ10月下旬に一度は落ち着き、会話したり文字を書いたりできるくらいまで回復していたといいます。初公判で事件の真相が語られるのか注目が集まっていた矢先の悲報でした」
「ハウル 次は地獄でカンパイ!」
トー横広場の小川被告がよく座っていたという一角には椅子が1つ置かれ、大量の花束や煙草、菓子が供えられ“献花台”ができていた。なかには「ハウル 次は地獄でカンパイ!」と書かれた高級スパークリングワインまであった。
「ハウルはバラの刺青を入れてたから……」と、バラを供える青年や、少年院から出所したものの行き場を失っていた時に「飯食うか?」とハウルに声をかけられて居場所ができたという青年まで、多くの人が線香を手向けて死を弔っていた。トー横に出入りする30代の男性はハウルの話をする時、懐かしそうな顔になる。
「最初にハウルに会ったのは去年の秋。全身刺青で奇抜な服装、振る舞いも落ち着きがなくて相当ヤバい奴だと思いました。だけど話が一段落すると、いきなり手袋をはめて『よし、やるぞ!』とトー横の掃除を始めた。周りにいたゴミ拾いが似合わない派手な服装の女の子たちも一緒に掃除を始めて『いいことやってんじゃん』と思いましたね。逮捕されたのは言い訳できないですけどね……」
少女に手を出した事件については口を濁しつつも、全体的にはハウルに対して好意的なようだった。しかし一方で、“弔いムード”に乗りきれないキッズも多い。昨年からトー横に来るようになったという“古参”キッズの20代の男性が話す。