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「僕はそこまでハウルと仲が良かったわけでもないけど線香はあげました。ただ、彼を嫌って『絶対に線香なんかやらない!』というキッズも多いですよ。ご飯を渡すかわりに女の子にLINEを聞いてしつこく連絡してくるという話も逮捕前からよく聞いていました。彼は広場を仕切りたい気持ちがあったので反対するメンバーの嘘の噂を仲間内のLINEグループで流して嫌がらせをすることもあり、慕う人も多かったけど敵も多かったですね」

 突然の訃報から3日後の11月18日、トー横に区の職員が清掃に入り、広場を占拠していた椅子などが撤去された。しかし“献花台”だけは撤去されずに今も残っている。キッズたちはここを「ハウルのお墓」と呼んでいる。歌舞伎町関係者が語る。

トー横広場の一角に椅子やスーツケースを持ち込んで居座るキッズたち

「ハウルが亡くなった当日に、元卍会のメンバーの1人が花を持って広場にやってきたのが“お墓”の始まりでした。ハウルに世話になった人がどんどん集まり、供え物が増えていった。逮捕されて急に広場から消えたことで『お礼が言えなかった』という人も多かったのでしょう。もちろん少女への淫行や金にがめついところなど、悪いところはたくさんありました。ただ彼に救われた人が多かったことは、献花台に集まった人やモノを見ればわかります」

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ハウルの死後、「オレオレ詐欺」や美人局も急増中

 ハウルはトー横広場に出入りする大麻の売人や特殊詐欺を持ち掛ける大人を広場から“出禁”にしていて、「ハウルが逮捕される前の方がトー横の治安は良かった」と言う人もいる。夏休み期間は警察による一斉補導でキッズの数は一時的に減ったが、補導の頻度が減った9月以降は再び人が集まり始め、ハウルに“出禁”にされていた人々も広場に舞い戻り、現在のトー横はカオスになっているという。別の歌舞伎町関係者が語る。

広場に横になるキッズたち。泥酔している場合もあれば、ただ寝ているだけの場合も多い

「広場のあちこちで殴り合いも起きるようになり、いまでは『北斗の拳』状態です。ハウルは良くも悪くも広場の顔役で、大麻を売る人間ににらみをきかせ、薬物に手を出してオーバードーズになったキッズのことも心配していました。パパ活はキッズの収入源なので黙認していましたが、悪質な手法は嫌っていた。それが今は地方から上京した売人や、『オレオレ詐欺』の“出し子”をキッズに斡旋する中年男性も広場に出入りしている。彼らの舎弟のようになって、大麻を吸ったり詐欺に加担して逮捕されたキッズもいます。おじさんをターゲットにしたツツ(美人局)も増えています」