「ありていに言えば、コロナ禍での鉄道利用の減少もあって弊社はかなり厳しい状況にあります。だから…」
いったいなぜ、家具という未知の市場に乗り出すことになったのか。答えてくれたのは、鉄道本部イノベーション本部の豊島正浩さん。
「ありていに言えば、コロナ禍での鉄道利用の減少もあって弊社はかなり厳しい状況にあります。だから、できることならば何でもチャレンジしていって未来を切り開いていかなければならない。その挑戦のひとつが、このオマージュ家具なんです」
鉄道は、この座席に限らずあらゆる技術を駆使し、高め、新たに生み出して進歩してきた。ただ、それらが鉄道業界の枠を超えて外に出る機会はごく限られていた。
安全性、快適性、耐久性…“ハイテクノロジー”が支える鉄道車両
「でも、改めて考えてみると鉄道の中だけで終わってはもったいない技術や蓄積はかなりあるのではないか。今回のオマージュ家具もそのひとつなんです。
鉄道車両の座席は、安全性・快適性・耐久性などの検討を重ねて生まれたものです。とうぜん鉄道車両に合うように設計されている。でも、そこで培ってきたものは一般家庭のリビングに置く家具にもきっと活かされる。いわば、オープンイノベーションのひとつとして、『WEST EXPRESS 銀河』オマージュ家具が生まれたというわけです」(豊島さん)
オープンイノベーションというと、もっとハイテクノロジーな最先端技術を想像してしまう。だが、言われてみれば“電車の座席”だって鉄道会社が長年の知見を蓄えてきた技術の粋のひとつだ。そこに目をつけて、『WEST EXPRESS 銀河』のデザイン性と組み合わせて外の世界に打って出る。
もちろん、JR西日本では他のさまざまな分野でも外部展開を進めている。一般の消費者の目に届くものとしてはこのオマージュ家具が、同社のオープンイノベーションのシンボルのようなものなのかもしれない。
そしてアイデア勝負のオープンイノベーション、これからもまだまだ可能性はありそうだ。見た目はおしゃれなリビングも、実は“鉄道会社のオープンイノベーションでできている”なんて日がやってくる……こともあるのだろうか。
写真=鼠入昌史
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